フランス国債プレミアム、危険な水準に近づく-カンドリアムCIO
(ブルームバーグ): フランス国債のリスクプレミアムは金融危機に向かうことを示唆する「危険な」水準に達しようとしていると、カンドリアムの最高投資責任者(CIO)が警告した。
マクロン大統領が国民議会(下院)を解散し総選挙の実施を表明して以来、フランス国債は下落。安全資産のドイツ国債に対する上乗せ利回り(プレミアム)は18日に79ベーシスポイント(bp、1bpー0.01%)と、2017年以降で最大となった。終値ベースでこれを上回れば、ユーロ圏の債務危機が本格化した12年以来の大幅な上乗せとなる。
約1450億ユーロ(約24兆5600億円)の資産を監督するカンドリアムのニコラス・フォレストCIOはインタビューで「現時点で大きく注目されているのは売りの第2波があるかどうかで、プレミアムが80bpを突破するかどうかだ。80bpを上回れば、100bpを目指すことになる」と指摘。「80を上回るようだと、痛い目に遭うだろう」と続けた。
世論調査でリードする極右政党・国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏は、過去に減税と歳出拡大を表明している。このため、市場は同氏の勝利におびえている。ルメール経済・財務相は、ルペン氏が提唱する経済プログラムが実行されれば、2年前に英国でトラス前首相が引き起こしたような債務危機に陥るだろうと警告した。
フランスで極右勝利なら債務危機、トラス氏の二の舞も-経済・財務相
フォレスト氏によると、カンドリアムは11日、保有するフランス国債の一部を売却。解散総選挙が発表された後には、欧州株に対する投資判断を「中立」に引き下げた。今週、ルペン氏がマクロン大統領と協力すると確約したことで、市場はいくらか安定したが、短期的にはフランス国債の買いを促すような政治シナリオはないとフォレスト氏はみている。
同氏によると、長期的な問題はフランスがイタリアのようになってしまうことだ。イタリアはギリシャとともにユーロ圏で最も債務負担が大きく、国債のリスクが高い。フランスの国内総生産(GDP)に対する債務比率は現時点で来年既に112%を超えると予想されている。イタリアは138%余りだ。