日本の夏に快適さを!進化した無印良品の「さらっと綿」
シンプルで天然素材にこだわった商品を展開する株式会社良品計画の「無印良品」。 文房具や寝具、化粧品、食品といった人々の生活に寄り添う商品を展開しているが、今回注目したのは、日本に特有のジメジメした夏場を快適に過ごすためのインナー「さらっと綿」だ。昨年からは編み方が新しくなったように、毎年顧客の声を汲み取りながら、よりよい商品の開発が行われている。 今期はラインナップの刷新に加えて、素材面でも改良があったようだ。商品開発担当の高垣伊織さんと素材開発担当の大常寿典さんに、24SSの「さらっと綿」の進化について伺いながら、今後の展望も語っていただいた。
より快適な肌触りのために
ー「さらっと綿」の特徴について教えてください。 大常: 夏場にベタベタして不快感を覚えるのは、お肌と生地の間にある水分が原因です。その水分を取り除くために、「さらっと綿」には湿気をすばやく吸収するよう、特殊な機能加工を施した綿素材を使用しています。また、毛羽が少ない糸を使っているため、さらさらした肌触りになります。 そのうえで、糸の撚りの強さなどを緻密に計算しています。撚りが強すぎると肌当たりが強くなりますし、逆に弱めるとふわふわした温かみのある風合いになります。そのため、どれが一番肌に適しているのかを追求して生まれたものが、「さらっと綿」になります。 ー細かい点ですが、男性用と女性用で素材が異なる理由はなぜですか。 高垣: 男性と女性でインナーに求めているものが違うからです。 紳士用は接触冷感やドライな風合いを出すために、弊社の強みである綿100%で製品を作っています。 それに対して、婦人用は肌あたりが柔らかい着心地で、落ち感が出るようにレーヨンを加えています。お客様からは婦人用でも綿100%が欲しいという声が多数あったので、今シーズンからラインナップに追加しました。 ー昨年からは、生地の編み方も変えられたと聞きました。 高垣: 紳士用が採用していた従来のメッシュ編みは独特な風合いで、少しゴワゴワした質感でした。その肌ざわりが好まれていましたが、お客様のレビューをチェックしてみると、柔らかい質感を求めている人が多数でした。 より多くのお客様に選んでいただける商品にするため、伸縮性があり、肌着に適したフライス編みを23年シーズンに導入しました。 大常: 編み方の特徴としては、メッシュ編みだと生地に隙間や凹凸の特徴がある分、風の通しが良かったり、肌面に点で接触することでさらさらした感触を得られるんですね。ですが、洗濯をすると縮む性質があるので、丈が詰まるなど扱いにくい側面もありました。 また男性だと年間を通して「さらっと綿」を着られる方もいますが、冬場にメッシュ編みだと風通しが良い分、保温性が落ちたり、見た目が寒々しくなってしまいます。 今後の市場拡大も考えた結果、夏でも冬でも快適に着ていただけるようなものにしていこうということで、フライス編みへの変更に至りました。