日本製鉄会長「到底受け入れることはできない」USスチール買収禁止命令に徹底的に争う姿勢 岩屋外相はブリンケン国務長官と会談…懸念払拭に向けた対応求める
買収中止命令は政治的な思惑によるものか
「Live News α」では、大阪公立大学客員准教授の馬渕磨理子(まぶち・まりこ)さんに話を聞いた。 堤キャスター: ーー今回の提訴、どうご覧になりますか? 大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん: 裁判のポイントは2つあります。1つめは、買収中止命令は政治的な思惑によって出されたものではないかということです。 USスチールの買収をめぐって、85万人の組合員をもつ全米鉄鋼労働組合(USW)が一貫して反対しています。バイデン大統領、そのあとを継ぐトランプ氏の判断に影響を与えた可能性があります。 堤キャスター: ーーもう1つのポイントについては、いかがですか? 大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん: 同盟国である日本の企業と組むことのどこに安全保障上の問題があるのか?ということです。買収については、1年以上かけて議論しています。 本当に安全保障の問題があるのならば、バイデン大統領はもっと早くに買収禁止を命令できたはずです。日本製鉄は、アメリカの安全保障の視点から買収の是非が判断されたものではない。そうであるならば、勝訴の可能性があると考えており、これはUSスチールも同じ立場です。 堤キャスター: ーー今後、USスチールはどうなっていくのでしょうか? 大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん: 今、世界中の鉄鋼メーカーが苦しい状態にあります。世界シェアで5割以上を占める中国の鉄鋼メーカーは、市場が低迷しているのに過剰生産をやめず、安値で輸出の拡大を行っているからです。 USスチールは、日本製鉄からの世界トップレベルの技術支援や資金アシストが絶たれてしまうと、さらに厳しい経営を強いられる可能性があります。 堤キャスター: ーー一方の日本製鉄については、いかがですか? 大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん: 今回の訴訟を通じて、日本製鉄の米国事業の停滞は避けられないです。日本製鉄は、法廷闘争だけが戦いではなく、トランプ氏の新政権チームへの接触など、さまざまなロビイング活動を進めていくことになります。 トランプ氏は、輸入品に高い関税をかけて製造業を再び強くしたい、労働者に豊かな暮らしを取り戻すとしていますが、日本製鉄とUSスチールが共に歩むことが、トランプ氏の願いに沿っていることを納得させられるかどうか。まさに、ディールの行方を見守りたいと思います。 堤キャスター: 日米の鉄鋼メーカーはもちろん、さまざまな関係者にとって最も成長につながる選択ができるように、冷静に向き合う必要があるように思います。 (「Live News α」1月7日放送分より)
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