神戸弘陵が決勝でも"らしさ"貫く3得点!三田学園を下し夏の全国へ
6月9日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選の決勝が三木総合防災公園陸上競技場で開催され、大会連覇を狙った神戸弘陵が3-1で三田学園を下し全国切符を手にした。 【フォトギャラリー】三田学園 vs 神戸弘陵 3回戦から5試合を勝ち抜いてきた両チーム。両者は新人戦ではどちらも準決勝で敗れ、3位決定戦で対戦(神戸弘陵が3-0で勝利)。今度はお互いに準決勝を突破し、全国切符をかけ決勝の舞台で相まみえた。 勢いよく試合に入ったのは三田学園。FW10姫田琢斗(3年)とFW9瀬尾涼太(3年)の2トップが前線から追い回し、中盤でも強度の高い神戸弘陵に引けを取らないプレーを見せる。7分には姫田が抜け出してチャンスをつくった。しかし、神戸弘陵も負けじとハイプレスで相手を押し返す。17分には高い位置でボールを奪取すると、クロスにMF8下醉尾朔也(3年)が飛び込むなど惜しいシーンを作った。 前半も残り5分を切ると、ベンチから「長いボールで」と声が飛んだ三田学園に対し、神戸弘陵はMF10石橋瀬凪(3年)が左サイドから華麗なドリブルでDF3枚をかわしボックスに侵入。ゴールには繋がらなかったが神戸弘陵が盛り返した形で前半を終えた。 「前半はプラン通り0-0で終えて、後半追い風で勝負」(福島康太監督)と、三田学園は狙い通りの前半。対する神戸弘陵も「前半は相手も走ってくるとわかっていたので、前半は展開を入れたりして走らせて、後半バテてきたところで、点を入れるというのをチームで統一して意識していた」(MF7木津奏芽)とこちらも想定内。 その上で神戸弘陵は「前半は2トップのカウンターとFKが、こちらのゴールに向かってくるシーンだったので、まずは不用意なファウルを減らすこと。2トップに入ってくるロングボールの処理、セカンドボールを拾う意識の徹底をしました」と、谷純一監督がハーフタイムに守備面をテコ入れ。 そして後半が始まると、神戸弘陵はキャプテンの木津が変化を見せる。「ロングボールでクリアしたり、忙しい展開になってきていたので、落ち着かせるのも大事だと思って」とゴールキックになると最終ラインの真ん中に下がり、ビルドアップの舵を取りだした。相手の2トップのプレスに対し、CB2枚と木津で数的優位を作りだした。 結果的にこれが、後半開始から先制を狙ってゴールに迫りたい三田学園の勢いを削いだ。ここから落ち着いて相手を揺さぶりながら攻撃を展開した神戸弘陵が試合の均衡を破る。45分、右サイドからFW9白石蒼悟(2年)がクロスを入れると、下醉尾が「ニアで潰れようとしたらボールがニアに来たので、ほんまは一発で決めたかったんですが、イレギュラーで自分の体に当たって、足元に落ちた」ところから落ち着いて右足でゴール左に流し込んだ。 「半分を過ぎた辺りにゴールを取れるかなと思っていました」と指揮官の思惑より早く先制に成功した神戸弘陵は、選手を入れ替えながらさらに攻める。すると51分、左サイドの裏でパスを受けた白石がドリブルで中に切り込んで右足を一閃。白石のカットインシュートは見事にゴール右のサイドネットに収まり、神戸弘陵に貴重な追加点がもたらされた。 「県内を勝つのは簡単ではないんですが、3点取って勝つというのを目標に掲げているので」(谷監督)と、この決勝という舞台でも自分たちのスタイルを崩さない神戸弘陵は守りに入る素振りを見せない。60分には中盤でこぼれを拾ったMF6梅原良弥(2年)が自ら持ち運ぶと、右足で豪快なミドルをゴール左に突き刺した。 目標通りに3得点を重ねた神戸弘陵は、アディショナルタイムにDFのクリアミスでオウンゴールを献上するも、そのまま3-1で勝利し、夏の兵庫県制覇を達成した。 昨年は県内3冠と、県内では圧倒的な強さで他を寄せ付けなかった神戸弘陵。しかし、今年も県内3冠を掲げる中、早くも新人戦を逃してしまった。さらにプリンス関西1部では開幕から3連敗。それでもこの苦境をキャプテンの木津を中心に乗り越えた神戸弘陵は、ここからプリンスを3連勝で五分に戻すと、このインターハイ予選は見事な勝ち上がりを見せた。 木津は「ちょっとしんどいなと思うこともあったんですが、(プリンスで開幕3連敗)そこから3連勝して、総体も全部勝てたので、苦しい時もあったんですが、乗り越えて今は優勝しましたし、やりがいを凄く感じています」と、プレッシャーを跳ね除け、1冠を達成したことに安堵し表情を緩めた。 それでも全国大会に話が及ぶと「チームとしても今日の試合を越えられるように、去年のインターハイで青森山田に負けているので、チーム立ち上げからそこを越えられるようにという基準で守備も攻撃もやってきたので、まずはそこを全面に出すってところ。個人としてはゴールやアシストの結果を残して、活躍できるようにやっていきたい」とキャプテンは目を輝かせた。 県内3冠は逃してしまったが、プレッシャーに押しつぶされずに全国大会の切符を手にした。神戸弘陵らしく最後までゴールを目指す姿勢と鍛えてきた強度を全国の舞台でも発揮する。 (文・写真=会田健司)