為替動向に左右されにくい「海外売上高比率」はどの水準か
7月上旬には1ドル=161円まで円安が進行しましたが、足元は145円前後で推移しています。これだけ為替が乱高下している中では、どのような銘柄が安定的なのでしょうか(撮影:梅谷秀司)
7月10日に1ドル=161円台だった円相場が8月5日に一時141円台となるまでの円高となりました。足元は落ち着きを見せていますが、今後の円相場の行方には不透明感が拭えません。 そこで今回と次回(9月7日配信予定)の本連載では、「海外売上高比率」を使った戦略を取り上げてみます。海外売上高比率は「会社四季報オンライン」の四季報銘柄ページやスクリーニング項目で表示できますので、次回は具体的な利用方法について取り上げます。 7月11日に史上最高値の4万2224円を付けた日経平均株価ですが、その後は下落。8月5日の底値3万1458円まで、16営業日で1万0765円の下げ幅となりました。 こうした背景には、11月のアメリカ大統領選に向けた不透明感や、対中貿易制限など保護貿易強化に向かう可能性による影響懸念といった材料もあります。しかし、株安の根底にあるのは、アメリカで発表された経済指標に同国の景気減速を示すものが少なくなかったため、金融緩和観測が高まったことがあります。 一方、日本国内に関しては、日本銀行が7月31日に利上げの実施を決定。さらに、植田和男日銀総裁が今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませたことから、年内の追加利上げの見方が強まりました。 つまり、アメリカの金利低下と日本の金利上昇観測による円高が株安の大きな要因なのです。その後、日銀の内田真一副総裁が8月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と発言したことから安心感が高まり、円安・株高となりました。
本文:2,757文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
吉野 貴晶