自分で「老人ホームの費用」を準備するならどのくらいの額が必要?
老後は家族に迷惑をかけずに、老人ホームなどの施設で過ごしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。老後30年間で約2000万円が不足するという情報もあるなかで、老人ホームに入居する場合の費用も気になるところです。 本記事では老人ホームに入居するためには、どれくらいの資金を準備する必要があるのかを解説します。老後に老人ホームを利用したいと考えている人は参考にしてください。
老人ホームにかかる費用
老人ホームは、高齢者介護サービスがある施設の総称です。老人ホームにはさまざまな種類がありますが、資金を準備する観点から比較的高額な施設を利用することを想定しておけば、他の施設となった場合も対応できます。 その観点から本記事では、民間施設のひとつであり、自立者の入居から看取りまで可能な「介護付き有料老人ホーム」の費用を老人ホームにかかる費用として解説します。 ■施設サービス利用の自己負担額 介護付き有料老人ホームでは初期費用として「入居一時金」、月額費用として「介護サービス費」「その他生活費(住居費、食費など)」がかかります。このなかで介護保険の対象は介護サービス費だけです。 介護付き有料老人ホームの費用の相場(自己負担額)は以下のとおりです。 ●入居一時金:0~数千万円 ●月額費用:15万~35万円 ●年金収入:14万5000円 ※厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」による厚生年金平均月額 費用は施設によってさまざまで、立地や人件費などにより金額に幅があります。(公財)生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護期間は平均で5年1ヶ月です。介護付き有料老人ホームの入居一時金を400万円、月額費用を25万円とした場合の5年間の費用総額は、単純計算ですが「(25万円-14万5000円)×12ヶ月×5年+400万円=1030万円」となります。 ■介護費用の負担を軽減する制度 公的年金と介護費用を活用しても、老人ホームの費用は5年で1000万円以上かかります。しかし、さらに負担が軽減できる制度があります。それが高額介護合算療養費制度と高額介護サービス費です。 これらの概要は、図表1のとおりです。 【図表1】