<センバツ・ここに注目>選手紹介/4 大自然が生んだ「鉄腕」 大野稼頭央投手(大島・2年)
甲子園の南西約900キロにある奄美大島から「鉄腕カズオ」が聖地にやってくる。 エース左腕は初の準優勝を果たした昨秋の九州大会で圧巻の投球を見せた。引き分け再試合となり2日連続で完投した大分舞鶴との1回戦は最速146キロを誇る直球で押し、計19回で28三振を奪った。中1日で迎えた準々決勝は甲子園の優勝経験がある興南(沖縄)を完封。三振は二つのみで緩急巧みに凡打の山を築いた。 多彩な投球術もさることながら、4日間で3試合を完投し、計467球を投げた「鉄腕」ぶりだった。 自信を持つ「スタミナ」は奄美大島の自然で育まれた。「小さな頃から鬼ごっことか缶蹴りとか、ずっと外を走り回っていた。それが今につながった」。自宅がある集落は小さく、「山ばかり」という環境で、放課後や休日の遊びが体力作りになった。 捕手の西田心太朗(2年)の「リード」もタフさを支える。相手打線を入念に研究し、力の入れどころ、抜きどころを誘導してくれる。「タイミングよく緩い球を使ったり、『真ん中でいい』とジェスチャーしてくれたり、疲れないように配球してくれる」と信頼は厚い。 九州大会の準決勝、決勝は「1週間で500球以内」の球数制限で残り33球となり登板はなかった。「自分以外も中学時代はエースだった良いピッチャーがいる。投げられる分だけ投げる」。憧れの舞台でも球数など気にせず、腕を振り続ける。【吉見裕都】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ■人物略歴 ◇大野稼頭央(おおの・かずお)投手 小学3年で野球を始め、中学では軟式。名前は野球部OBの父が、日米球界で活躍した松井稼頭央・西武ヘッドコーチのファンであることが由来。左投げ左打ち。