U-23日本代表、パリ五輪「最強メンバー」考察 OA含む18人の狭き門…6月初招集の欧州組“抜擢”も【コラム】
FW2枠は大岩監督が信頼寄せる2選手でほぼ決まりか
中盤はU-23アジア杯でキャプテンを務めた藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)が主軸だが、遠藤が加わる場合は4-3-3のアンカーが想定されるため、同時に起用するなら藤田がインサイドハーフに回りそうだ。松木もスタメン候補だが、並外れたフィジカルとメンタルの強さで、ゲームチェンジャー的な役割を担っていく可能性も考えられる。そうは言っても中2日で回していくので、藤田がアンカー、松木がインサイドハーフでスタメンという試合も出てくるだろう。 荒木は4-3-3の左インサイドハーフをベースに、4-2-3-1に可変させた時はトップ下からゴールを狙う攻撃の中心になる。攻撃で違いを生み出せるパリ五輪世代のタレントには久保建英(レアル・ソシエダ)や鈴木唯人(ブレンビー)もいるが、彼らの招集が困難であることを前提に選考すると、荒木以上の適任は考えにくい。佐野航大(NECナイメヘン)は6月のアメリカ遠征で大岩ジャパンの初招集となったが、究極的なポリバレントであり、しかも与えられたポジションでスペシャリティーも発揮できる。山本理仁(シント=トロイデン)とギリギリまで悩んだが、SBやウイングの選手層も考慮に入れて佐野を残した。 左右の両ウイングは最もタレントの豊富なセクションで、誰を選んで、外しても賛否両論出るだろう。その中で右に山田楓喜(東京ヴェルディ)、左に怪我から復調してきた斉藤光毅(スパルタ)、そして左右のポリバレントとして平河悠(FC町田ゼルビア)を選んだ。山田は直近のコンディションに不安はあるものの、本大会までに復調可能だろう。個で剥がせる高い力と左足の決定力、セットプレーのキッカーとしても頼りになる。 そして180センチのサイズはウイングながら、セットプレーの守備で高さを加えられるのは大きい。左SBの大畑や中盤の藤田、荒木、左の斉藤などが小柄なタイプなので、攻撃的なポジションの選手にもサイズのある選手を入れないと、セットプレーの守備でゴール前にミスマッチが起きやすくなってしまう。そうした意味でもインサイドハーフの松木と並び、山田の存在は世界と戦うにあたって大きい。 センターフォワードはパリ五輪世代のエースである細谷真大(柏レイソル)と前線のポリバレントでもある藤尾翔太(FC町田ゼルビア)でほぼ決まりだろう。3人目のFWを加えられるなら現在J1で9得点の木村勇大(東京ヴェルディ)やロス五輪世代のエースとして期待される後藤啓介(アンデルレヒト)といった大型FWの名前が挙がるが、18人というメンバー構成で、大岩監督の細谷と藤尾に対する信頼を逆転させるまでは難しいか。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji