驚異的に「速く」明らかに「重い」 最新BMW M5へ初試乗 次世代は727psのV8プラグインHV!
みなぎるトルク 驚異的に速く、明らかに重い
8速ATは、304km/hの最高速度と101.8kg-mの最大トルクに対応させるため強化。リアデフ内のクラウンホイールも10mm拡大され、235mmになった。量産のデフとしては、相当な大きさだという。 タイヤ幅はフロントが285で、リアが295。フロント側はM5 CSに並び、過去最も幅が広い。銘柄は複数設定されるが、ミシュラン・パイロットスポーツS 5かピレリPゼロ Rが推奨とのこと。どちらも、操縦性の精度を担保するという。 今回の試乗はサーキットに限られ、公道は走れていない。先導するのはM4 CSで、BMWの研究開発責任者、ディルク・ハッカー氏がステアリングホイールを握る。EVモードで静かにピットを発進するが、すぐに全開。V8エンジンが目を覚ます。 真っ先に、トルクの豊かさに気付く。低回転域からみなぎっている。アクセルレスポンスは一層鋭く、駆動用モーターが加速力を上乗せしていることは明らかだ。 ドライビングポジションは素晴らしい。やや座面は高く、シートの形状は先代の方が筆者好みだったかも。試乗車のインテリアはカモフラージュされていたため、写真をご覧いただきたい。 キャビンは広い。SUVのように。ステアリングホイールは少し重すぎる。これらも折り重なり、最新M5のイメージが形成されていく。 驚異的に速いが、明らかに重い。500kgの車重増は、常に感取される。それでも、気まぐれな印象はない。300km/hを超える最高速度に、疑いようはない。
M4 CSをたやすく追走 直感的な運転体験に
さらなるグリップ力を求めて、ボディ前部は剛性が高められ、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションは全面的な再設計を受けた。ネガティブキャンバーも強い。ダンパーは、ザックス社製からビルシュタイン社製へ変更された。 M5としては初めて、収縮量に応じてバネレートが徐々に高くなる、プログレッシブ・スプリングをリア側に採用。ここにアンチロールバーを組み合わせ、自然なボディロールを引き出したという。 M4 CSを運転するハッカーはアクセル・ベタ踏みだと思うが、M5はたやすく追走。大きなフロントノーズは素直にコーナーへ吸い込まれ、見事に正確に旋回し、ストレート目掛けて爆発的に加速していく。 シケインやS字コーナーで、M4 CSが堪える。しかし筆者が駆るM5は、中回転域の動力性能と相まって、明らかに余裕。グリップ力も甚大。英国の公道では、きっと手に余るように感じるはず。 とはいえ、水準を塗り替えるほど速いわけではない。操縦性も同様だろう。アンダーステアは抑えられている。サーキットの限り、シャシーバランスは素晴らしい。ステアリングやボディロールなど、Mらしい調和があることは確かめられた。 大きさと重さが故に、公道での運転の楽しさや普段使いのしやすさに、影響は現れていて当然。M部門の技術者にとって、従来の領域を超えた開発だったかもしれない。しかし、直感的な運転体験は叶えられそうだ。
BMW M5(欧州仕様)のスペック
英国価格:11万500ポンド(約2210万円) 全長:5060mm(通常5シリーズ) 全幅:1900mm(通常5シリーズ) 全高:1515mm(通常5シリーズ) 最高速度:304km/h(ドライバーズ・パッケージ) 0-100km/h加速:3.5秒 燃費:-km/L CO2排出量:37-39g/km 車両重量:2400kg(予想) パワートレイン:V型8気筒4395cc ターボチャージャー+電気モーター 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:18.6kWh 最高出力:727ps(システム総合) 最大トルク:101.8kg-m(システム総合) ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
リチャード・レーン(執筆) フェリックス・ペイジ(執筆) 中嶋健治(翻訳)