【元銀行員が解説】300万円振り込んだら銀行から電話が…何か監視されているのでしょうか?
「銀行からの電話」に不安を感じたことはありませんか? 突然の電話に、詐欺かもしれないと疑ったり、何か問題があるのではと心配になることもあるでしょう。 ◆【要チェック】個人情報とは?年々増加…「疑わしい取引」の推移 金額にかかわらず、銀行に入金した後に電話がかかってくる理由は多岐にわたります。 この記事では元銀行員の筆者が、銀行が個人客に電話をする複数のケースと、その際に対応すべき最適な方法について解説します。 この記事を読んで、電話があった際にいつでも慌てず対処できる方法を身につけませんか? ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
まず疑う:電話の正当性を確かめる
銀行からの電話を受けた際には、まずその正当性を疑い、詐欺の可能性を考慮することが重要です。 銀行の職員が電話で暗証番号やカード情報を聞き出すことはありません。 ただし、本人確認を目的とした氏名や生年月日等をお伺いすることはありますので、個人情報を求められた場合は慎重に対応しましょう。 電話番号が本当に銀行のものであるかどうか、公式サイトや銀行の連絡先で確認することが効果的です。 また不審な電話を受けた場合、すぐに情報を提供せずに一度電話を切り、公式の銀行窓口に直接問い合わせることが安全です。個人情報を安易に提供しないことで、詐欺のリスクから身を守ることができます。 いまだ銀行員を名乗る「還付金詐欺」や「キャッシュカードの交換」を名目にした詐欺は多発しています。電話の内容に不安を感じた際は必ず発信元を確認するようにしましょう。
銀行からの電話がかかってくるケース4選と対応方法
それでは次に、詐欺目的ではない、銀行からの電話連絡が実際にかかってくるケースを4つご紹介します。 ●資産運用セールス 銀行では預金残高が多い顧客に対して専任の担当者を付けることが一般的であり、その主な目的の一つは投資運用商品の提案や勧誘を行うことです。 また、顧客の預金残高が多くなくても大きな振り込みがあった場合には、「入金のお礼」として電話をかけることが慣例化しています。(電話連絡の基準となる振込額は300万円以上、500万円以上、など銀行により異なります。) 元銀行員の視点から見ると、銀行員による電話セールスの積極性やアプローチ方法は担当者ごとに異なり、統一されていません。もし複数回電話がかかってくる場合、それは「選ばれた顧客」として認識されているとも考えられ、資産運用や投資についての有益な情報を得る機会と捉えることもできます。 資産運用の相談に関心がある場合は、担当者に面談の設定を依頼するとよいでしょう。一方でセールスの連絡が負担に感じる場合は、担当者に対して明確にその意向を伝え、セールスの停止を依頼することも容易にできます。 ●マネーロンダリングの疑い 預貯金口座が特殊詐欺に悪用される事例が後を絶たないのを受け、金融庁は近く全国の金融機関に資金の出入りのモニタリング(監視)の強化を要請します。 日本は国際的なマネーロンダリング(資金洗浄)対策において依然として低い評価を受けており、「重点フォローアップ先」とされています。これは、金融活動作業部会(FATF)などの国際機関が、日本の対策を十分ではないと見なしているためです。 実際、2023年のマネーロンダリングが疑われる取引の届出件数は年間で70万7929件に達し、これは2016年以降8年連続で40万件を超える高水準を維持しています。また、2022年から2023年にかけて疑わしい取引の通知件数が著しく増えている点に着目ください。 この数字は金融機関やその他の報告義務者が疑わしい取引を監視し、当局に報告する頻度が増加していることを示しており、日本が依然としてマネーロンダリング対策の強化を必要としている現状を反映しています。 これらの理由により、銀行では取引の内容や状況に応じて、過去に確認した氏名、住所、生年月日、職業、取引目的などの情報を再確認する場合があります。通常この確認は郵送や窓口で行われるため、電話での連絡が来ることは稀です。 しかし今後は規制が強化される可能性が高く、特に外国送金などの特殊な手続きを行った場合には、マネーロンダリングの疑いがあるとして電話で確認を求められることも考えられます。 このような場合、銀行からの確認は顧客の資産保全やコンプライアンスの一環であるため、不快感を覚えることなく、冷静に対応することが望ましいです。適切に応答することで、問題が生じることはありませんので、安心して対応してください。 ●事務手続きの確認 銀行で事務手続きを行った後、その内容の確認や追加対応が必要な場合、銀行からの電話連絡を受けることがあります。このような連絡を無視すると、顧客自身にとっても手続きの遅延や不備によるリスクが発生する可能性があるため、迅速な折り返し対応が求められます。 特に銀行の営業時間外(15時以降)にかかってくる電話は、事務手続きの不備や口座の残高不足に関する通知である場合が多いです。これは、銀行の事務部門が営業時間終了後に業務内容のチェックや処理を行うためです。 したがって営業時間外の連絡には特に注意を払い、早めに対応することが後々のトラブルを防ぐためにも重要です。 ●ローン関係の連絡 ローンの延滞や返済条件の変更が必要となった場合、銀行から直接の電話連絡があることがあります。このような状況では、返済が遅れることで信用情報に悪影響を及ぼす可能性が高いため、迅速かつ適切な対応が求められます。電話に応じない場合、銀行は何度も連絡を試みることが一般的です。 このため銀行からの電話を無視せず、速やかに対応することで信用情報への悪影響を最小限に抑えることが重要です。場合によっては返済条件の見直しや再交渉を行うことが可能な場合もあるため、担当者との連絡をしっかりと取り適切な解決策を見出すようにしましょう。