日本で復活した幻のアメリカブランド 「ロッキーマウンテン フェザーベッド」の“クリスティベスト”のこだわりとは
「当時のバイヤーさんも知らない方が多かったのが正直な印象です。今、2005年の最初に作ったプロダクトをみると急いで作ったということもあり、本当に恥ずかしいものです(笑)。2005年にスタートさせましたが、日本では新しいブランドとして位置づけされてました。ただ、そういう市場だったからこそ、新しくスタートできたのも事実だったんです」
生地と一枚革ヨークなどこだわりが詰まったディテール
市場に認知されるようになる転機は2007年に開発した、現在ボディに使用されているものと同じ70D(デニール)ナイロンタフタを完成させたことだった。信岡さんはこう続ける。 「当時、生産担当にナイロンを作っていた会社出身のスタッフがサーティーファイブサマーズに入り、オリジナルのナイロン生地開発をはじめました。オリジナルナイロンもヴィンテージを研究し、風合いを再現するために何度も試行錯誤して今の70Dのナイロンタフタに着地しました。
一般的に使われるナイロンよりも打ち込み本数を多くすることで高密度になり、羽の抜けを防ぎました。そして織り上がったナイロンにコーティングするのが普通の処理ですがダウンウエアを作るには通気性が必要で、コーティングは通気性が無くなり不向きです。そこで圧力と熱によって表面を滑らかにするシレー加工が施された素材なんですよ。」
実はこのナイロンを開発していた時期に、人気を博していた「デュベティカ」や「モンクレール」が採用していた本当に薄くシャイニーなナイロンが流行りでした。そのため70Dのような中肉のナイロンが生地屋から消えていたんです。時代と逆行する動きにもいろいろな面で苦労しましたね。」 この70Dのナイロンタフタは高密度のためコーティングしなくても羽が抜けにくく、かつ通気度も高いのでダウン素材のように空気を含む材料には最適。コーティングしたナイロンは通気性がなくなり、中に注入したダウンが膨らまなくなるのだそう。
他にもこだわりはたくさんあるが、特筆すべきはシンボリックな一枚革ヨークだ。