社員12人中10人をリストラ「明日からどうすれば…」何人も涙を流した そこから復活した「高級トイレ」商社の3代目、恨まれなかった理由は
◆土地や建物があっても経営に役立たなかった
――会社の改革で意識したことはありますか? 3つあります。 1つ目は、水回りの設備を提供するという存在価値であり、強みは守り続けること。 2つ目は、会社を継続させること。 今は会社を再生する手法がいろいろありますが、決算期が第何十期と続いていくことが大事だと私は判断しました。 3つ目が「持たざる経営」です。 土地や建物があればお金持ちに見えるかもしれませんが、私にとっては何の役にも立ちませんでした。 これからの激動の時代を考えると、身軽に会社の体制を自由に変えられる方が望ましい。 今は多様なアウトソーシング先があるので、コアの部分だけを残して身軽になりたいという思いが強かったです。 ――専務時代に会社を大きく変革し、その後に事業を承継したのですか? 会社のつくり変えがほぼ完了した2019年5月、令和元年に切り替わるタイミングで私が跡を継ぎました。 良かったと思うのは、父とけんか別れにならなかったことです。 最終的に父も納得してくれました。 父は今も元気にスポーツジムに通っていますよ。
■プロフィール
株式会社さかもと 代表取締役 坂本 英典 氏 1971年栃木県生まれ。東海大学経営学部卒。大手機械商社・山善を経て、25歳で家業の水回り設備商社「さかもと」(1936年創業)入社。業績悪化から脱却すべく、メイン事業からの撤退や本社売却、在庫全売却、社員のリストラを断行して、2019年に46歳で3代目として事業を承継。研究開発の末、2016年、漆加工の洋式トイレ「BIDOCORO」をリリースし、注目を集めている。