世界で“争奪戦”…バイオ燃料となる使用済み天ぷら油『廃食油』国内回収と消費が日本のエネルギーの支えに
環境省などによると、化石燃料は、燃焼時に軽油で1Lあたり2.6キロ、重油では2.7キロほどのCO2を排出するとされている。
バイオ燃料もCO2は排出するものの、原料となる植物が成長過程でCO2を吸収しているため“実質的に”排出ゼロだ。
そんなバイオ燃料の原料として、「廃食油」が注目されている。
■日本の廃食油の3割が海外に…“輸出のためにCO2排出”という矛盾も
愛知県東海市にある「ダイセキ環境ソリューション」が持つバイオ燃料の製造プラントでは、東海3県などから集められた廃食油に化学処理を施し、バイオ燃料へとうまれ変わらせている。
ここでは、1日に最大10kLのバイオ燃料を作ることができるということだ。
赤茶色に濁った廃食油は、蒸留などをすることで透き通った透明になる。軽油と比べ、より無色に近いのが特徴だ。 豊通エネルギー 種田舜さん: 「においは天ぷら油。ちょっとお腹がへるようなにおいになっています」
バイオ燃料の製造から、小島組などの需要先への提供まで、サプライチェーンの構築を担うのは、豊田通商のグループだ。新たなビジネスチャンスに、原料となる廃食油の回収に日々追われているが、ある悩みがあるという。 豊通エネルギー 種田舜さん: 「実は本当に今、大変で苦慮してまして。廃食油が輸出されていたり、奪い合いになってきている状況がありまして。ヨーロッパとかが需要が高まっていますね」
廃食油の“争奪戦”が、世界規模で起きている。環境意識が高いヨーロッパなどでは、すでにバイオ燃料の大規模な製造工場がいくつも確立。日本で回収される廃食油も、実に3割が海外に輸出されていて、需要が高まる今、日本はその確保に後れを取っている。
全油連 塩見正人事務局長: 「現状、日本の廃食油の発生量、回収できているのは40万トンです。そのうち直近の数字ですと、12万トンが海外に輸出をされております。国内のSAF需要が今後数万トンレベルで廃食油が必要になると圧倒的に足りない」 原因は“飛び恥”と揶揄されるほどCO2排出量の多い、航空機の燃料だ。日本では2030年から、機体に給油する燃料の10%を再生燃料=SAF(サフ)に置き換えることが義務化される。