パリ五輪体操個人総合金メダリスト岡慎之助の何がどう凄いのか?
「中学1年の頃に、普通、この2つの技はできません。まだ背が低かったのですが力強さとセンスはスバ抜けていました。まだ華麗さ、美しさ、さばきといった部分はなかったのですが、徳洲会へ進み、背が伸び、どんどん体操にうまさというエッセンスが加わり始めました。継続努力が開花したのでしょう」 そして岡は右膝の前十字靭帯断裂という大怪我を乗り越え、さらに大きくなってパリ五輪の舞台で世界一の称号を手にしたのである。 6位に終わった橋本はインタビューの途中で涙を流した。 「新しい歴史を見れて僕は幸せです。国内の競走レベルが高くなり、新しい未来が見えた。彼の努力とあきらめなかった強さに僕も感動した、彼も僕も(4年後の)ロス(五輪)に向けて一緒に戦いたい」 2歳年下の岡を祝福した上でライバル心を隠さなかった。 岡も「常に挑戦していく心だけ忘れずにいたい。(今回は)エースにもミスが出てしまったんで、MAXの演技で勝負ができていない。お互いミスなくいい勝負したい」と、この金メダルで橋本との戦いに勝ったとは思っていないと表情を引き締めた。 畠田氏は今後の2人の争いをこう見ている。 「普通にやれば、まだ橋本の点数の方が高い。おそらくですが、岡も自分が一番だとは思っていないでしょう。ライバルのミスがあって勝ったということはよくわかっていると思います。岡はどんどん成長しています。4年後に向けて彼は連覇を、そして橋本も、このままで終われないという気持ちが強いでしょう。2人が、どう切磋琢磨していくかが楽しみです」 そしてこう続けた。 「岡の金メダルは、昨春に侍ジャパンが優勝したWBCと同じく、子供達には希望と夢を与えました。そうなりたいという子供達はきっと増えますし、今の現役の選手たちにも、近くに東京とパリの2人の金メダリストがいるのですから、具体的な目標になります。彼らに勝つことが目標となり、自然に日本体操界のレベルが上がるという好循環が生まれます」 日本体操界に脈々と続いている金メダルの系譜…。パリの舞台で飛び出したニュースターが手にした輝きの価値は計り知れない。
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