「ミトマにドウアン、クボ…今は欧州で韓国以上の評価だ」トルシエが“世界トップ級”と断言「日本サッカーのエコシステム」その正体とは
リバプールやマンCに優るとも劣らない育成組織が
――選手の身体能力や運動能力ではアフリカ人は日本人を上回りますが、彼らには日本のようなエコシステムを作ることができないのですね。 「その通りで、アフリカ人にも日本人のような規律とエコシステムがあれば……。しかし彼らには文化的なベースがない。優れたアフリカ人選手は、フランスやイングランド、ドイツで育成された選手たちだ。日本人は違う。彼らは日本で育成されている。 日本の長所は、教育の基盤を国内に築きあげていることだ。アフリカはベースをヨーロッパに頼っている。幾つかの国はそれを作ろうとしているが、今はまだ優れた選手を育成する確固としたベースがないから、ヨーロッパにやってきたアフリカ人たちのレベルは低い。ところが日本には、リバプールやマンチェスター・シティに優るとも劣らない優れた育成組織がある」
今の日本は他のアジア諸国を大きく引き離している
――そのレベルでは、韓国やイラン、サウジなどと比べてもアジアの中で突出していると言えますか。 「もちろんだ。日本人選手はヨーロッパで韓国人以上に評価されている。以前はそうではなかった。だが今は、フランスでもスペインでもドイツ、イングランド、ベルギー、オランダでもそうで、優れた育成組織から生まれた選手であることが知られている。サウジリーグは豪華な選手がいることで有名だが、W杯最終予選ではインドネシアに敗れた。それはサウジ人選手が、国内リーグで十分にプレーできていないからだ。 最高のエコシステムは日本のそれだ。素晴らしいピッチやスタジアム、レベルの高い国内リーグ、指導者たちの能力の高さが優れた環境を作りあげた。そして優れた選手たちがヨーロッパに移籍してプレーしている。それに対してサウジの選手はだれ一人としてヨーロッパではプレーしていない。それは選手を育成するエコシステムがサウジには存在しないからだ。今の日本は他のアジア諸国を大きく引き離している」
日本のエコシステムは、世界のトップだ
――しかしそれでも日本とブラジル、アルゼンチン、フランス、スペイン、イングランドなどの強豪国との間には違いがあるのでは……。 「それは違いの問題ではなくてアイデンティティだ。日本のアイデンティティはメキシコとは異なる。メキシコとコロンビアのアイデンティティも異なる。エコシステムに関しては、日本は世界のトップだと私は思う。 ――それほどまでに高く評価をしていますか。 「世界最高のエコシステムはどこか。スペインなのかフランスなのかイングランドなのかドイツなのか……。日本はそうした国々とほとんど差がない。日本を含めたそれらの国々が、世界最高のエコシステムを持っている。 サッカーのエコール(流派)や指導者の養成ではフランスとスペイン、ドイツが最高。その3カ国がトップ3で、日本はトップ5に入っている。日本で監督をやっていたときから私は、日本人選手は世界のトップ5に入ると言い続けてきた。テクニックやメンタルにおいて、日本人は世界のトップレベルにあると」
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