世帯年収「527万円」で年金の受け取りを「70歳」まで遅らせると、生涯の受給額はどれだけ増える? 85歳まで生きる場合で試算
年金は基本的には65歳から生涯受け取れますが、受け取り始める時期を遅らせることで毎月の受給額を増やすことが可能です。ただし、受け取る時期を遅らせると、その分年金をもらえる期間は短くなります。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える? 本記事では、「標準的な世帯で85歳まで生きた場合、年金を65歳で受け取り始める場合と70歳で受け取り始める場合で、生涯で受け取る年金の金額がどれくらい違うのか」について解説しています。
標準的な世帯の年金は月額で約22万円
厚生労働省によると、平均的な収入の夫婦2人が受け取る年金の受給額は夫婦の合計で月額22万4482円です。 なお、ここでの平均的な収入の前提は「平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円で40年間就業した場合」ですので、年収では約527万円になります。人によってはこの金額よりも多い場合も少ない場合もありますが、今回のシミュレーションではこの月額22万4482円を基準として計算していきます。
年金受給開始年齢を遅らせることで増える年金額
年金は65歳から受け取り始めることが基本ですが、受給開始時期を最大で75歳まで遅らせることも可能です。受給開始時期を遅らせると、65歳からもらうはずだった年金額に、1ヶ月遅らせるたびに0.7%の増額率が加算されます。 そのため、例えば70歳から年金を受け取り始めると、65歳から受け取り始めた場合の年金額よりも42%多い金額を受け取れます。
年金受給開始年齢が65歳の場合と70歳の毎年の年金額
夫婦が同じ年齢で共に65歳から年金を月額22万4482円受け取っていたとすると、年間で受け取る金額は269万3784円です。 そして、この夫婦がもしも70歳で年金を受け取り始めた場合、月額で受け取る金額は22万4482円に42%が加算されて31万8764円、年間で受け取る金額はこの12ヶ月分で382万5168円です。
85歳までの間で年金受給開始年齢が65歳と70歳で総額いくら年金をもらえるか
標準的な世帯が夫婦2人で受け取る年金額の年額は、年金受給開始年齢が65歳では269万3784円、70歳では382万5168円です。 仮に夫婦が共に85歳まで生きた場合、生涯で受け取る年金額は次のとおりです。 ●65歳から受け取り始めた場合:269万3784円×20年=5387万5680円 ●70歳から受け取り始めた場合:382万5168円×15年=5737万7520円 65歳から受け取り始めたほうが年金を受け取る期間は長いですが、生涯の年金受給額は300万円以上少ないという結果になりました。 ちなみに、今回は標準的な世帯の年金額を参考にしましたが、年金額をどのように設定しても、同じ年齢の夫婦が共に85歳まで生きた場合、年金受給開始年齢が65歳と70歳では、必ず70歳で受け取り始めたほうがトータルの年金受給額は多くなります。