報道陣に公開された旧大社駅の屋根＝島根県出雲市大社町北荒木

　保存修理工事が進む重要文化財・旧大社駅（島根県出雲市大社町北荒木）の屋根がほぼ完成し１６日、報道陣に公開された。和風駅舎建築の風格を表す瓦屋根が２６、２７の両日にある見学会で一般公開される。 【動画】旧大社駅、純和風の屋根あらわ　「次に見られるのは５０年、１００年後」　ふき替えの様子公開

　旧大社駅の屋根は中央部を切り妻屋根で一段高くし、両翼は入り母屋屋根を重なり合わせ、重厚な外観をつくり出している。 　瓦は２万枚以上使われ、うち４割を新たにした。「鴟尾（しび）」は雨水の浸入を防ぐ屋根飾りで、４カ所全て新調。亀の形をした「留蓋瓦（とめぶたがわら）」は接ぎ目からの雨の侵入を防ぐ化粧瓦で、１０個のうち失われた１個を復元した。 　鬼瓦の一種「獅子口」は再利用した。正面上部の瓦は蒸気機関車の動輪を模したマークが施されており、大社駅が国の直轄事業として建設された歴史を物語っている。 　市文化財課の吾郷誠主幹（４５）は「威厳のある屋根や亀の形をした特殊な瓦など旧大社駅の瓦屋根の全貌を見てほしい」と来場を呼びかけた。 　駅舎は木造桟瓦（さんがわら）ぶき平屋の建築面積約４４１平方メートルで、１９２４年に完成。９０年３月末の大社線の廃止まで、出雲大社参拝の玄関口として活用された。保存修理工事は２０２０年１２月に始まり、２５年１２月まで行う。総事業費は約１２億５千万円。

　見学会は２６、２７の両日とも午前１０時～午後４時。事前申し込み不要。問い合わせは同課、電話０８５３（２１）６８９３。 　２６日は旧大社駅でイベント「大社駅はじまりフェスタ」も開かれ、飲食などのブースが並ぶ。