2年連続の大量卒業…大阪は「笑いの聖地」でなくなったのか? 相次ぐ芸人の東京進出
■ 「若い頃は窮屈やったけど…」さまざまな思い
では、大阪が東京進出の踏み台なのかというと、もちろんそんなわけではない。自他ともに認めるように関西は笑いに厳しい土地柄であり、なにより大阪ミナミの「なんばグランド花月」には連日一線級の芸人が舞台に上がっている。今も昔も関西が「笑いのメッカ」であることは間違いない。 また、大阪の劇場「マンゲキ」では名実上位の芸人が卒業していく分、若手がどんどん伸びている。誰かが卒業するたびに、ニュースターが誕生する若手層の分厚さにびっくりさせられる。それでもこうやって「大阪は良い、良い・・・」と言ってしまうのは、やはり多くの芸人が東京へ行ってしまうことへの寂しさがあるからにほかならない(笑)。 ただ、東京で大成功をおさめながら、近年は『おかべろ』(関西テレビ)、『なるみ・岡村の過ぎるTV』(ABCテレビ)など地元・大阪で再びレギュラー番組を抱えるようになったナインティナインの岡村隆史に『Lmaga.jp』がインタビューをおこなった際、このようなコメントを残している。 「東京はカッチリしている番組が多いなかで、大阪はノリとか、自由にやっていくというか。どっちもいいところはあると思うんです。若い頃は『こうしてください、ああしてください』って言われるのは窮屈やったけど、でも、この世界にもう20何年いますから。それなりの技術や経験がある分、『自由にやってください』と言われると楽しいんですよね」。 東京での活動の良さはもちろん認め、その経験があったからこそ現在の自分があると自覚したうえで、岡村は「大阪の方が気持ち的に絶対落ち着くんです」と語っていた。やはり、芸人として大阪でお笑いをやることは、いろんな意味で格別な思いがあるのだろう。現在「大阪離れ」が進んでいるように思えるが、それは決して正しい言葉ではなく、東京進出は「やっぱり笑いは大阪」と気づくためのひとつの過程なのではないだろうか。 また、『M-1グランプリ 2019』の王者・ミルクボーイが「漫才が一番がんばれる場所はどこかを軸に考えている」(『やすとものいたって真剣です』(ABCテレビ)より)と、引き続き大阪を拠点にすることを選択したのは、よく知られる話。笑いの殿堂と言われる「なんばグランド花月」でトリをとること、大阪の芸人にとって最高の栄誉のひとつ『上方漫才大賞』を受賞することなど、大阪でしかできない笑いもたくさんあるとした。