『ストップ・メイキング・センス』をTalking Headsの4人が語る。「愛を表現した」40年前のライブが蘇る
2020年にデイヴィッド・バーンのライブを記録した映画『アメリカン・ユートピア』が劇場公開されて話題を呼んだ。緻密に計算された演出。それでいて、ライブの躍動感を失っていない演奏。そして、監督をスパイク・リーが手がけ、映像作品としての完成度も高い本作を観て、かつてバーンが在籍したバンド、Talking Headsの映画『ストップ・メイキング・センス』(1984年)を思い出した者は多いに違いない。 【画像】『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』より 『ストップ・メイキング・センス』はロックバンドのライブ映画に革命をもたらした斬新な作品だったが、それが今回、A24による4Kリマスター版でリバイバル上映されている。そして、日本公開にあわせてオリジナルメンバーの4人、デイヴィッド・バーン(Vo / Gt)、ジェリー・ハリスン(Gt / Key)、クリス・フランツ(Dr)、ティナ・ウェイマス(Ba)が集結。当時のライブと今回の映画について語ってくれた。
Talking Headsとジョナサン・デミの出会い
4人の言葉を聞く前に、『ストップ・メイキング・センス』の背景について簡単に振り返っておこう。Talking Headsは1983年6月にアルバム『Speaking in Tongues』を発表。同年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで4日間にわたってコンサートを行なった。そのうち3日間の様子をカメラに収め、一夜のライブのように再構成したのが『ストップ・メイキング・センス』だ。 監督を手がけたのは、のちに『羊たちの沈黙』(1991年)で『アカデミー賞』を受賞するジョナサン・デミ。「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンのもとで腕を磨いたデミは1974年に監督としてデビューし、『メルビンとハワード』(1980年)が『ニューヨーク映画批評家協会賞』監督賞を受賞して注目を集めた。『ストップ・メイキング・センス』はTalking Headsが自分たちで資金を出して制作したが、監督がデミに決まったのはメンバーが『メルビンとハワード』を気に入っていたことも理由のひとつだった。