2008年(平成20年)多摩川で実施されたチルト4度の実験とは?ファンを驚かせる新サービスも拡大【ボートレースコラム】
全国で企画レースが急増
2000年代後半は、公営競技全体が厳しい時期だった。ボートレースも例外ではなく、売り上げの復活を図って、新たな広報活動やファンサービスの拡大が試みられた。 当時はまだ本場の売り上げが大きかったので、来場促進のイベントや企画が多かった。OBや専門家を呼んでの予想会や勝利選手の公開インタビュー、来場ポイントの付与、ペアボート、初心者教室などの機会も増えた。 レースにおいても、男女W優勝戦や世代対抗戦(例:シニアVSヤングVS女子)などが増え、さらにもっと企画性の強い開催も見られるようになってきた。「誰が勝っても初優勝」戦や、出身校別の対抗戦などがその例で、さらに強豪選手を好枠に入れて予想をわかりやすくするシード番組がこの頃から全国的に拡大していった。 また前年のモーターボート法改正で20歳以上の学生が舟券を買えるようになったので、本誌でも大学生による舟券大会などの企画を行ったものだ。 【表あり】85期「銀河系軍団」の井口佳典が賞金王決定戦を制覇!
多摩川でチルト4度の実験!
2005年頃からファンには大きな人気を集めていた"チルト3度"の選手たち。その代表的存在である阿波勝哉がこの年、大外から9連勝を飾って自己記録更新。チルト3度解禁の場が急増した。さらにスピード水面として注目度の高い多摩川においては、チルト4度の実験も行われている。その模様が関係者に公開されたが、実現には至らなかった。 しかしその一方で、ナイター場の増加やレース場周囲への騒音対策、そしてレースの安全性も考慮されて、エンジンは「標準機」から「消音機」(後に「減音機」と呼称)への全国統一が図られて行く。これによって出足型のエンジンが主流となり、インの強さがジワジワと上昇していった。
MVP争いは松井繁VS井口佳典
水上での覇権争いは、総理大臣杯(現・クラシック)とオーシャンカップを勝った松井繁が前半戦をリード。それに対抗したのは、85期「銀河系軍団」の一角・井口佳典だ。笹川賞(現・オールスター)で5コースから鮮やかなまくり差しで初のSGタイトルを手に入れると、年末の賞金王決定戦(現・グランプリ)も制した。 一方で松井も夏以降、堅実な戦いを続けて、年間の獲得賞金ではトップ。そしてこの年の優秀選手選考では、ボート記者による「記者大賞」は井口、一方で「最優秀選手」に松井を選出と、珍しく選考が割れた。