英雄ナポレオンは、なぜ稀代の悪妻ジョセフィーヌにぞっこんだったのか?【齋藤 薫】
パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。 【悪女から離れられないワケはこのピュアさ!?】
結婚直後に、若い愛人と逢瀬を繰り返す女
あなたはジョセフィーヌという人にどんなイメージを持っているでしょうか? 悪妻、浪費家、傲慢、我儘、浮気妻………どう転んでも、良いイメージにはなりえないのが、ジョセフィーヌが残した歴史。 それでも、闘将ナポレオンはこの妻にぞっこんでした。しかも単なる悪妻にとどまらず、戦地から熱烈なラブレターを次々に送ってくる夫を完全に見下して、その手紙を友人に見せては嘲笑していたのは有名な話。 結婚直後に戦地に赴く夫が、こちらに来てほしいと幾度となく懇願してくるのをよそに、若い愛人と逢瀬を繰り返していたという事実もあって、相当にタチが悪い。 そんなとんでもない妻に、ナポレオンはなぜそこまで執着したのでしょうか? 歴史にはいろいろ不可解なことがあるものだけれど、このナポレオンとジョセフィーヌの関係もその1つ。腹落ちしない部分が多すぎる。でも実は12月1日公開の映画『ナポレオン』を観ると、それが一気にクリアになります。
観終わった後には、ジョセフィーヌが大好きになっていた?
フランス革命におけるマリー・アントワネットの処刑から始まる壮大な映画は、ナポレオンの栄光と失脚、そしてジョセフィーヌとの関係が丁寧に描かれ、今も語り継がれる様々な逸話がリアルに描かれることで、すべてのモヤモヤが晴れるのです。 結論から言うなら、ジョセフィーヌは極めて魅力的な女性であり、彼女に心酔したナポレオンの気持ちが、女性の自分にも手に取るようにわかるほど! 悪妻であることは間違いなし、不倫もホント、浪費もホント、全て本当だけれど、それを上回る魅力を持っていたということなのです。それどころかなんだか心にまったりと纏わりつくような魅力を持っている人で、観終わった後には、すっかりジョセフィーヌが大好きになっている自分に気づくのです。 ある夜の集まりで出会ったその日に、ナポレオンが一目惚れ。と言っても、言葉も交わさず、目も合わない。タバコを燻らせ、ちょっとしどけなくワインを飲むジョセフィーヌの姿を、奥手で不器用な男は、ただ一方的に眺めていただけ。しかも当時の彼女は、自分の上司の愛人でした。 じつはそういうこともひっくるめてナポレオンの気持ちを理解できるほど、仕草から表情までが際立って魅力的だったと言ってよく、もうその時点で、何もかもが腑に落ちてしまったのです。