【BCマイル】津村騎手は理想のフォーム追い求める「似ているから見た方がいい」福永師の助言も
今度は世界をアッと言わせる-。今年のヴィクトリアマイルで人馬とも初のG1制覇を果たした津村明秀騎手(38=フリー)とテンハッピーローズ(牝6、高柳大)のコンビが海を渡り、BCマイルに挑む。春は14番人気の低評価に反発し、鮮やかな差し切り勝ちで、デビュー21年目の鞍上は待望のG1タイトルを手にした。「初めてG1を勝たせてもらって忘れられない1頭になると思う」。思い入れの強い、絆を深めたパートナーと今度は世界の大舞台に挑戦する。 米国本土へ行くのはデビュー2年目の06年以来18年ぶり。「騎乗停止中に師匠(鈴木伸師)に海外の競馬を見てこいと言われて」。勉強をかね、当時20歳の若武者は単身、海を渡った。「サンタアニタに競馬を見に行って、とにかくアメリカのジョッキーは格好いいなと。競馬自体もそうだし、周りの雰囲気も。スピード競馬でレーススタイルも速いけど視線がブレないし騎乗姿勢も格好いい」。“格好いい”という言葉が何度も聞かれ、米国の競馬に魅了されたことがよく伝わってきた。「アメリカでいつか乗ってみたいなと思ってた。初めて乗るのがBCってのはね。分からないことはあるけどワクワクしています」と胸を弾ませる。 レースで結果を出すことはもちろん、技術の研さんにも力を入れるつもりだ。「僕もアメリカンスタイルで乗っているタイプ。いろんなジョッキーをよく見て、いいお手本にしたいし、自分のフォームにも取り入れられれば」。関係者の誰もが認める美しい騎乗フォームも、鞍上はまだまだ高い理想を追い求める。 特に津村騎手から名前が挙がったのは2名のトップジョッキーだった。「(アイラッド)オルティスJr.と、福永(師)さんから『津村に似ているから見た方がいいよ』と言われたのが(タイラー)ガファリオン。近くで見られるので参考にしたい」。いずれもBCマイルにエントリー(オルティスJr.=チリフラッグ、ガファリオン=カールスパクラー)しており、夢の競演も実現することとなった。 家族の存在を励みに、G1の騎乗機会を追い求め、春は悲願のG1初制覇を果たした。今度は海外G1制覇へ。「(米国の速い流れを意識して)前走で千二を経験したのは良かったと思う。アメリカの競馬にも対応できると思う」。パートナー、テンハッピーローズのスピード能力を信頼し、全力で世界にぶつかる。【井上力心】