妻「子どもの受験は将来のため」夫「夜中まで勉強させる必要があるのか」夫婦の“溝”がより深まる、やってはいけない話し合い方
議論の作法2 夫婦の議論は論破したら負け
意見が割れるというのは、お互いの間に深い溝がある状態です。溝を挟んで引っ張り合いをしている姿を想像してみてください。これが対立です。 この状態において、論破とは、相手を溝へと引きずり込む行為です。言いくるめたり、論理的に相手を追い詰めたり、勢いや感情で相手の意見を蹴散らしたり……議論の末に、相手を引きずり落としたらどうなるでしょう? 深い溝から落ちた相手は大怪我を負います。怪我をすると、禍根(かこん)を残します。禍根が残っている相手は、決断にコミットできない可能性があります。それが、プロセスコミュニケーションにおいて致命的なのです。 よくモメるのが、教育方針の違いです。子どもの将来のために小さい頃から受験させたい母(父)と、やりたいことにのめり込む時間を大切にしてあげたい父(母)のように、夫婦間で意見が対立したとします。 「受験をした子のほうが将来成功しているデータ」を提示して相手が納得したならいいのですが、論破して一方的に推し進めた場合、相手は事あるごとに「受験を決めたことへの不満」が目につくようになります。 「子どもの元気がない。つらそうだ」「小さいうちから夜中まで勉強させる必要があるのか」「親子そろって受験受験で、息苦しい」など。そうなってしまうと、受験を乗り越えるために家族が力を合わせるのは難しいかもしれません。 こうしたトラブルは、受験などの大きな問題から、夏休みの旅行先や週末の外食先といった小さな問題まで、しょっちゅう起こっています。夕飯程度の対立なら翌日には忘れられるかもしれませんが、大きな問題になるとそうもいきません。 家族の議論における結論は、その場限りのものではありません。 その先も続く関係を左右する可能性があるのです。だから、安易に相手を論破したりしてはいけません。家族を言いくるめたところで、その代償は大きいのです。 それでは、どうやって議論を進めていったらいいのでしょうか。 お互いの間に意見の対立という溝があるとき、各々の意見をただ主張して引っ張り合うのは危険です。そうではなく、溝の間に架け橋をかけましょう。 大切なのは、「相手の意見を理解すること」です。