キムタク主演映画『無限の住人』は本当に“爆死”、“大コケ”だったのか?
木村拓哉主演の映画『無限の住人』(三池崇史監督)は4月29日の公開以降、興行成績などに触れて“爆死”という表現で大コケを誇張するメディアの報道が多い。だが、果たして実際のところはどうなのだろうか? 同映画は、5月17日から開催された「第70回カンヌ国際映画祭」のアウト・オブ・コンペティション部門に出品され、渡仏した三池監督、木村、杉咲花の現地での様子は大きく報道されたが、同時に本作の興行成績が芳しくないという記事も多数見受けられた。
初登場6位のスタート
興行通信社が発表している映画動員ランキングを見ると、4月29日に公開された『無限の住人』は、土日2日間で動員14万5000人、興収1億8900万円で、初登場6位という結果だった。 『無限の住人』と同週に公開され、動員ランキングベスト10に入った映画は、人気シリーズの8作目となる『ワイルド・スピード ICE BREAK』が3位、菅田将暉主演の『帝一の國』が4位、アニメ映画『映画かみさまみならい ヒミツのここたま 奇跡をおこせ♪テップルとドキドキここたま界』が10位という結果だった。
同時期公開の 『帝一の國』に動員、興収で敗北
ここで、比較対象として大きく取り上げられたのが、『帝一の國』だ。 『無限の住人』と同じく人気コミックの実写映画化であり、国内最大手・東宝の配給、劇場スクリーン数も292と、無限の住人の331スクリーンと比べても、それほど大きな差はない。 結果は『帝一の國』は動員16万6000人、興収2億1400万円を挙げて、『無限の住人』よりも高い数字を残した。スクリーン数で劣る『帝一の國』が動員、興収ともに『無限の住人』に勝ったということで、“若手実力派俳優の菅田将暉がジャニーズのキムタクを上回った”という内容の記事も見受けられた。この件に対して劇場スタッフはこう語る。 「確かに、数字を見れば、『帝一の國』が『無限の住人』よりも良い結果を出したというのは事実です。しかも過去の木村さん主演の映画の興行的な数字を見れば、『無限の住人』は物足りない結果だと言われることは仕方ないことだとは思います」 そして、こう続ける。 「木村さんは“高視聴率男”としてドラマ界で数々のヒット作を世に送り出していますが、映画の出演はそれほど多くはありません。いわゆる国内メジャー配給作品の主演作品と言えば『武士の一分』(松竹)、『HERO』(東宝)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(東宝)程度です。『武士の一分』は公開から3日間で動員37万7000人、興収4億3600万万円を記録し、最終的には41億円という興収をあげました。『HERO』シリーズは、ドラマの大ヒットもあるので、参考外だとは思いますが、第1弾作品は公開週の土日だけ74万人を記録し、興収も10億円超え。第2弾にしても初週の土日2日間で動員54万人、興収7億3200万円という数字を残しました。『SPACE BATTLESHIP ヤマト』も賛否はありましたが、オープニングの動員は41万2000人、興収5億2800万円という数字で、最終興収は41億円という結果。この比較から『無限の住人』のスタートは、過去の木村さんの作品と比べても、良い数字とは言えないでしょう」