キムタク主演映画『無限の住人』は本当に“爆死”、“大コケ”だったのか?
スタートダッシュにつまづいた!?
こうして見ると、確かに『無限の住人』は上記の木村主演の映画と単純に“数字”を比較すれば、物足りなさを感じることは否めない。 その要因として、スタートダッシュにつまづいたことをあげるのは映画雑誌の編集者だ。 「興行成績というのは、同時期に公開される映画との兼ね合いで大きく変わることがあります。だからこそ、公開時期にはかなり神経質になります。『無限の住人』が公開された時期は、今年の大本命と言われたディズニー映画『美女と野獣』や、東宝のドル箱コンテンツとして定着している『名探偵コナン』の最新作などが公開して間もなく、まだまだ勢いがありました。同時期にヒットしている映画が多数あれば、劇場側のスクリーンは奪い合いになります。初速の結果次第では、以降の劇場での編成は大きく変わってきます」。 そのうえで、『無限の住人』のオープニング成績である、動員14万5000人、興収1億8900万円について、 「数字だけ見れば、そこまで悪いものではないと思いますが、やっぱり木村拓哉さん主演だったり、製作費や公開規模を考えれば、物足りないと感じる人もいるのではないでしょうか。現時点で興収10億円前後だと思いますが、少なからず、スタート後の伸びという意味では、初速の数字が陰を落としているかもしれません」と分析する。
映画レビューでは高評価も
だが一方で、作品の内容を高く評価する声もある。 「木村さん主演や制作費用の兼ね合いから、興収が伴っていないという部分が強調され“爆死”などと表現されていますが、作品の出来という意味では、SNS等の口コミ評価は決して悪くないですし、Yahoo!映画レビューでも、3800件近くの評価がある中、3.74(6月8日現在)という点数は、けっして悪くない評価といえるでしょう。ちなみに木村さん主演の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、『武士の一分』、『HERO』と比べると、もっとも高い数字です」(映画ライター) 過去に人気コミックの原作を実写化したことがある映画プロデューサーは、「公開前の目標興収も憶測で報道されていますが、人気コミックの実写化、木村さん主演ということで、過剰に期待値が上がってしまったということも、ネガティブな報道に繋がってしまったのでしょう」と語る。 もちろん、興行収入が映画作品を評価する一つのバロメーターであることは間違いない。とはいえ、昨今の映画に関する報道においては、作品の内容にはほとんど触れず、目標興収を下回っただけで、すぐにセンセーショナルに“大コケ”や“爆死”と断を下す傾向が見受けられるのも事実だ。 一部のネガティブな報道に引きずられて、自ら作品を評価する機会を失っているとしたら、それはそれでもったいないのではなかろうか。