日本初の「中小企業向け、全国的なSDGs認証制度」スタート...認証の効果はこんなにも大きい
認証には「包括的にSDGsに取り組む出発点」の役割も
国内外でNPOマネジメントに長く携わり、評価・認証制度にも詳しいブルー・マーブル・ジャパン代表取締役・一般財団法人CSOネットワーク常務理事の今田克司氏は、認証の役割についてこう説明する。 「信頼のおける機関からの認証があると企業は安心を得られるが、その一方、認証を契機に、意思決定など、社内の仕組みを見直そうという動きも出てきます。自社の事業に関わりのあるSDGsの課題は何で、それに対してどのような取り組みをできるか。認証が包括的にSDGsに取り組む出発点になります」 JSBOの幹事にも名を連ねる今田氏は、国連開発計画(UNDP)の「SDGインパクト基準」、米NPOのBラボによる「B Corp認証」というグローバルなサステナビリティ関連の認証制度にも関わってきた。 「SDGインパクト基準」は日本でも知名度が高いが、概ね大企業向きとされる。基準に基づく研修は始まっているが、認証はまだ計画段階である点にも注意が必要だ。 一方、「B Corp認証」は世界で9000近い企業が認証を得ているが、日本ではまだ42社(2024年7月時点)。ここ2年ほどでB Corp認証の注目度も上がり、国内で認証を取得する企業も増えてはいるが、認証取得のために求められる水準は決して低くない。 そのためJSBOは、この認証制度によって、日本企業の99%を占める中小企業も対象に支援していこうというわけだ。JSBO理事の松田氏は「自治体や金融機関と連携し、補助金や融資、また自治体の入札に使えるような仕組みづくりも議論しています」と、展望を語る。
取り組みを「認めてもらう」だけでも意味がある
もう1つのポイントは、SDGs推進における「認めてもらうこと」の重要性だ。 極論を言えば、SDGsに取り組むことが売り上げや利益の増加に直結するならば、誰にも知られないままでもよいのかもしれない。 だが現実には、松田氏が言うように、両立は難しい。そのため、取引先や消費者、投資家、従業員といったステークホルダーに知ってもらうことそのものが、まずは企業にとってメリットの1つになる。 サステナビリティレポート、統合報告書、CSR報告書、あるいは、コーポレートサイトに載せるサステナビリティの情報――。 こうした報告書や情報開示は一般的になってきたが、とりわけ報告書を発行するほどの規模を持たない企業にとっては、第三者による認証が重要になる。「○○をやりました」と自社で発信するだけでは、説得力を欠く場合があるからだ。 今田氏の言う「認証によって企業は安心を得られる」がこれに当たると言えるだろう。