“消滅可能性”宣告前から苦心、豊島区人口対策 ワンルーム税15年目の検討
人口減少は街から活気が失われるだけではなく、自治体の税収にも大きな影響を与えます。人口減少問題待ったなしの状態に突入している今般、地方自治体は人口を増やす政策に躍起になっています。しかし、多くの自治体で、解決の糸口はつかめていません。 人口減少日本でほんの一握り、流入続く江東区 対応手探り新マンション規制 進学や就職などで上京してくる若者によって、近年では都心回帰の傾向が強まっていることもあって、今でも東京23区は人口増加傾向にあります。江東区では大規模なマンションが林立し、人口急増に拍車がかかっています。そして、急激な人口増により、保育所や小中学校などの整備が追い付かないという新たな問題が生じました。 ファミリー世帯向けのマンション対策に追われる江東区のような自治体がある一方で、単身世帯の増加対策に乗り出す自治体もあります。それが、豊島区です。
「定住率が低く、若い女性が少ない」
豊島区は2004年から、単身者向けのワンルームマンションに課税する「狭小住戸集合住宅税(通称:ワンルームマンション税)」を施行しました。ワンルームマンション税は条例で定める税金、いわゆる「法定外税」と呼ばれる豊島区独自の税金です。そのため、適用範囲は豊島区内のみにあります。 ワンルームマンション税は、5年ごとに見直し作業がおこなわれています。来年、税の創設から15年を迎え、豊島区は次の5年に向けてワンルームマンション税をどうするべきかといった検討を始めました。 2014年、前岩手県知事の増田寛也氏を座長とする日本創成会議は、2040年までに人口減少によって存続困難の可能性が高い自治体を「消滅可能性都市」として発表しました。日本創成会議が、消滅可能性都市としてリストアップした自治体は896あります。そのうち、東京23区では豊島区だけが消滅可能性自治体に名前が挙がっていたのです。 豊島区が消滅可能性都市とされたのは、「定住率が低く、若い女性が少ない」ことが理由です。日本創成会議の発表を受け、豊島区は子育て環境や公園の整備など住生活の充実に力を入れています。こうした政策を手厚くすることで、出生率や定住率の向上につなげようとしました。