DMMビットコイン「流出482億円」補償の胸算用 自己資本81億円でも「全額補償を即日発表」の背景
その点、DMMビットコインに関してはDMMグループが今後も支えるという意思を示したように取れる。実際、DMMビットコインは、480億円の増資や借り入れによって計550億円をDMMグループから調達することになった。 DMMビットコインの自己資本は今年3月末時点で81億円。自己資本比率規制上、資本として計上できる劣後債務などを加味しても105億円だった。482億円分相当を補償するには、踏み込んだ支援を受けないとできなかった。
そもそもDMMグループがDMMビットコインを売却したいとしても難しいのかもしれない。「追加の補填などの可能性を考えると、DMMビットコインにつけられる値段はよくて10億円、20億円では」(交換所関係者)。それでは手放す動機がない。 DMMビットコインは、補償の具体的な方法や時期を速やかに検討し、今後公表するとしている。 「『ハッキングは起こるもの』と頭のどこかでわかっていても、日常の業務の中で意識が弱くなる。しかしいざ起こると金額が大きく影響は甚大だ」。小田会長はそう語る。交換所の運営に携わる人たちは肝に銘じておいてほしい。
緒方 欽一 :東洋経済 記者