トランプ氏、パナマ運河やグリーンランド掌握に軍事経済圧力も NATOに国防費5%要求
【ワシントン=塩原永久】トランプ次期米大統領は7日、南部フロリダ州の私邸マールアラーゴで記者会見した。中米のパナマ運河の管理権掌握や、デンマーク領グリーンランドの領有に意欲をみせ、実現のために軍事的、経済的な圧力行使を辞さない姿勢を示した。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に対しては、国防費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げるよう求めた。 1月20日の就任を控えるトランプ氏は会見で幅広いテーマに言及した。 かつて米国が管理したパナマ運河で、自国の艦船が通行料を支払わされているのは「不名誉だ」と強調。パナマ運河と同様に以前から関心を示していたグリーンランドと合わせ「安全保障のために必要だ」と述べた。 トランプ氏は記者の質問に答える形で、パナマ運河やグリーンランドを掌握する上で軍事的、経済的手段を駆使することを「やらないとは保証できない」と言及した。 米国に隣接するカナダの編入に向けても「経済的強制力」を使うと脅しをかけ、米南部に面したメキシコ湾を「アメリカ湾に変える。美しい名前だ」と語った。 NATOは加盟国の国防費目標をGDP比2%としている。トランプ氏は会見で「2%ではなく5%であるべきだ。彼らは払える」と述べ、さらなる負担増を要求した。 トランプ氏は第1次政権(2017~21年)でもNATOに国防費引き上げを求めた。英紙フィナンシャル・タイムズは昨年12月、トランプ次期政権の幹部がNATO側に5%目標を求める意向を伝達したと報じていた。 一方、トランプ氏は中東外交にも触れ、パレスチナ自治区ガザでイスラム原理主義組織ハマスが拘束した人質に関して、解放交渉が進むことに期待を示した。 次期政権で中東担当特使に就くウィットコフ氏が会見で、これまでの交渉で「かなり進展した」と説明。20日の就任式までに成果を発表できる見込みを持っているとした。 これに関連し、トランプ氏は、ハマスが自身の就任式までに人質を解放しなければ「中東に地獄が訪れる。ハマスにとってもよくない」と脅し、人質解放で合意するよう圧力をかけた。