（ブルームバーグ）： カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールが472億ドル（約７兆630億円）で競合のセブン＆アイ・ホールディングス（７＆ｉＨＤ）を買収する計画を進めた場合、米国の独占禁止法に関する厳しい審査に直面する可能性が高いことが、ブルームバーグ・ニュースの分析で分かった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、両社は米全土の数千カ所にわたって直接競合しており、クシュタールが運営する「サークルＫ」の45％以上の店舗が７＆ｉＨＤが運営する「セブン―イレブン」または関連店舗から２マイル（3.2キロメートル）以内の距離にあった。

ブルームバーグ・インテリジェンス（ＢＩ）の法務担当シニアアナリスト、ジェニファー・リー氏は、米連邦取引委員会（ＦＴＣ）が店舗の集中化を問題視する可能性は「非常に高い」と指摘。データは「ＦＴＣが精査しなければならない重複が多数あることを示唆している。おそらく売却が必要になるだろう」と述べた。

７＆ｉＨＤはコメントを控えた。クシュタールはコメント要請に応じなかった。

クシュタールは米国内で6700店舗以上のサークルＫを運営。一方、７＆ｉＨＤは米国で合計約１万3300店舗のセブン―イレブンおよびガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」を展開している。米国内のコンビニ店舗数ランキングを毎年発表しているＣＳＰによると、７＆ｉＨＤが１位、クシュタールが２位となっており、クシュタールによる７＆ｉＨＤ買収が成立すれば業界トップ２社が統合することになる。

最初の買収提案が拒否された後、クシュタールは総額７兆円に上る１株18.19ドルの新たな買収提案を行ったとブルームバーグが報じた。両社の合併実現によって世界中に10万店舗以上、米国内に約２万店舗を抱えるコンビニチェーンの巨大なグローバル企業が誕生する見通しだ。

ブルームバーグの分析によると、サークルＫの１店舗以上が、セブン―イレブンまたは関連店舗の少なくとも１店舗から２マイル以内に位置しているケースは8077件に上った。こうした重複を解消するため、統合後の企業は最大で総店舗の12.31％に相当する2463店舗の売却を迫られる可能性がある。