ニューロダイバーシティと最高健康責任者「CHO」が職場で果たす役割
より多様で公平かつ包括的な職場づくりを目指す際に、ニューロダイバーシティ(神経多様性)を考慮しない組織が少なくありません。 多様な従業員やニューロダイバーシティを受け入れる職場は、企業に不可欠なスキルや強みをもたらします。 一方、当事者であるニューロマイノリティが活躍するには、心理的安全性が不可欠です。世界経済フォーラムが新たに発表した報告書では、職場におけるニューロダイバーシティの重要性が強調されています。 イノベーションや創造性が重要な意味を持つ、競争が激化するビジネス環境において、企業は多様性のある職場づくりに力を入れています。ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DE&I)に注目が集まる一方で、見落とされがちなのが「ニューロダイバーシティ」です。 ニューロダイバーシティ(神経多様性)とは、人々がどのように考え、どのように情報を処理し、どのように世の中を経験するかにおける、自然な多様性を指します。自閉症、ADHD、失読症、トゥレット症候群などの脳や神経に由来する特性を持つ「ニューロマイノリティ」の人々は、職場にユニークな強みをもたらしますが、その具体的な受け入れは依然として進んでいません。 ニューロダイバーシティとは欠陥ではなく、違いを意味します。社会ではニューロマイノリティにおける課題に注目が集まる一方、同様に重要なのは、彼らが提供する能力を強調することです。 ニューロマイノリティの強みである分析的思考や集中力、創造性や課題解決能力などは、現代の複雑なビジネス環境を乗り切るために不可欠であるとの認識が強まりつつあります。 企業が社内のニューロダイバーシティを推し進めるメリットを理解するようになれば、未活用の人材プールを活用できるようになり、イノベーションと従業員のウェルビーイング(幸福)の両方を促進することができます。 世界経済フォーラムの新しい報告書では、職場におけるニューロダイバーシティの重要性が説かれ、ニューロマイノリティの従業員が分析的思考や創造的思考などの貴重なスキルをもたらすことが強調されています。 この報告書では、心理的安全性の高い環境をつくり、職場での調整を主導し、方針を通じて「ニューロインクルージョン」を推進する、最高健康責任者(CHO)の役割について概説しています。 ニューロインクルージョンの推進におけるリーダーシップの役割 リーダーは、包摂的な職場文化を形成する上で重要な役割を果たします。ニューロマイノリティが活躍するためには、否定的な結果を恐れることなくアイデアや懸念を表明できる心理的安全性が不可欠です。 ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンソン氏をはじめとする専門家によると、職場に心理的安全性があれば、従業員はリスクを取ることができ、ありのままの自分でいることができます。これは、従来の職場環境に適応するために本来の自分を隠さなければならないと感じることが多いニューロマイノリティにとっては特に重要です。「仮面」を被ることはストレスになるだけでなく、組織に有意義に貢献する能力も制限してしまいます。 シニアリーダーが自身の経験をオープンに語ることにより、この話題はより自然なものになるでしょう。例えば、最高経営責任者の最大25%が失読症であると自覚していますが、それを公に明かす人はほとんどいません。リーダーがインクルーシブな行動を模範として示すことで、思考の多様性が尊重される組織文化の基盤が築かれ、ニューロマイノリティが偏見を恐れることなく活躍できるようになります。