やたらとヒョンデ&キアの韓国車が目につく! アメリカで販売台数以上に目立つのは「奇抜な」デザインのおかげ?
アメリカでは韓国車をよく見かける
アメリカにおける2023暦年(1月から12月)締めでの、トヨタブランド車全体の年間新車販売台数は224万8477台。アメリカにおける新車販売総台数が1561万6878台なので、トヨタブランド車の販売シェアは約14.4%となり、GM(ゼネラルモーターズ)に次ぐ販売シェア2位となっている。一方、韓国ヒョンデブランド車の2023暦年締めでの年間新車販売台数は80万1195台、同じく韓国のキアブランド車の2023暦年締め年間新車販売台数は78万2451台となっている。 【写真】まるでゲームや映画の世界のクルマ!? ヒョンデ「グレンジャー ヘリテージシリーズ コンセプト」とは かつてはルノーに対する「ダチア」的、つまりヒョンデ傘下のキアは、アメリカではダチアのようなローコストブランド的存在だったのに、いまやヒョンデと誤差程度しかアメリカでの販売台数に差がないのには驚いたが、トヨタはおろかホンダ(約130万台)にも販売台数ではかなり差を付けられている(ただし日産は約90万台なのでかなり迫られている)。 しかし、南カリフォルニアにてレンタカーを流していると、やたらとヒョンデやキアのクルマが視界に入ってくる。この両ブランド車は、とにかくラインアップの多くがエグすぎるエクステリアデザインを採用しているからだと考えている。 とくにキアはアグレッシブともいえる奇抜なデザインをいち早く採用してローコストブランドからの脱却を図っているため、よりその傾向が顕著だ。 たとえばヒョンデ・サンタフェといえば、トヨタの海外専売となる3列シート採用のクロスオーバーSUV「ハイランダー」がライバルとなり、先代モデルではごくオーソドックスなSUVスタイルだったのだが、現行モデルではスクエアな印象で、とくにリヤビューが印象的なまさにビックリするようなデザインを採用している。
奇抜なデザインにより日本車以上の存在感を発揮
トヨタ・カムリのライバル「ソナタ」や、カローラのライバル「エラントラ」でもエッジの効いたエクステリアとなっている。 キアブランド車は、デザインだけではなく「バツ印」に光るポジションランプなど、夜間でも存在感を強調する装備が与えられている。 前述したようにトヨタやホンダに対してはセールスパワーでは圧倒的な差をつけられているが、存在感で差を付けようとしているのかもしれない。 また、2023年までは日本車ではラインアップの少ないBEV(バッテリー電気自動車)で存在感を示そうとしていたようで、街なかではかなりの台数のキアEV6が走っていた。しかし、2023年あたりからガソリンの高値安定傾向が続くなか、燃費のいいHEV(ハイブリッド車)へ消費者の注目が集まるようになり、日本車の販売に勢いがついていた。 そして、2024年に南カリフォルニアを訪れると、ヒョンデ、キアともに多くの車種にHEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)が設定されていた。エグいデザインにHEVで日本車に迫ろうとしているようにも見えたのだが、「いまのように注目される前から、HEVといえば日本車、とくに『HEV=トヨタ』というイメージが完全に定着していました。確かにヒョンデやキアはオールラインアップといっていいほどHEVやPHEVの設定拡大を行っていますが、『HEVがあるからヒョンデ』という消費行動は広がっていないように見えます」とは地元事情通。 トヨタやホンダが慎重にセールスプロモーションを進めているなか、ヒョンデやキアは超低金利ローンなど、相変わらずの「乱売モード」が目立っていた。 内外装デザインなどの見た目ではかなり魅力的にも見えてきた韓国車だが、乱売とも呼べる販売施策を取り続けている限りブランドステイタスアップにも限界があり、トヨタやホンダに遠く及ばない現状はなかなか変えられないものと考えている。
小林敦志