〈初心者向け〉資産運用を開始する前に知っておきたい「金融商品」の最低限の基礎知識【公認会計士が解説】
近年では、投資による資産形成を目指す人が増えています。しかし、金融商品をよく理解しないまま購入するのはぜひとも回避すべきであり、最低限の基礎知識は身につけておきたいもの。ここでは、金利と景気の関係、利回り計算、債券、株式、投資信託などの投資にまつわる超基本事項を見ていきます。税理士・公認会計士の岸田康雄氏が資産運用に必要な基礎知識を解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
金利と景気
インフレが予想されるとき、人々は価格上昇前に購入を急ぐため、金利が上昇します。銀行は預金流出を防ぐために金利を上げ、政府や日本銀行は金融引き締めを図ります。 一方、デフレでは価格が下落し続けることで、人々は支出を控えるため、金利が低下する傾向があります。この場合、金融緩和が行われます。 また、外国為替相場の変動も金利に影響を与えます。円高が進むと、輸入品価格が下がってデフレが発生し、金利は低下します。逆に円安が進むと、輸入品の価格上昇がインフレを引き起こし、金利が上昇します。 日本とアメリカの金利差は、資金の国際的な流れに大きな影響を与えます。アメリカの金利が高ければ、より高い収益を求めてアメリカの債券が買われ、円安が進みます。逆の状況では、アメリカの債券が売られ、円高が進みます。
利回り計算の基本
利率は元本に対する1年間の利息の割合を示します。元本に係る損益は関係ありません。 これに対して、利回りとは、一定期間運用した元本に対して、運用期間中に得られた利息と、元本に係る損益の合計額の割合を、1年あたりに換算したものをいいます。 なお、複利とは、一定期間ごとに支払われる利息を元本に加えて、これを新しい元本と考えて利息を計算する方法です。利息も元本に加えられるため、利息が増えることになります。それゆえ、単利よりも複利のほうが有利となります。 例えば、10万円を、期間5年、利率5%の商品に投資した場合、税金を無視すれば、満期時の元利合計額は、 元金10万円 ×(1+5%)×(1+5%)×(1+5%)×(1+5%)×(1+5%) = 元利合計額 12万7,628円 となります。