晩年の仕事場〝蓼科〟着目 小津監督、歴民で資料90点展示 三重・松阪
脚本家・野田の山荘で創作
三重県松阪市殿町の市立歴史民俗資料館(米倉茂館長)は現在、松阪で青春時代を過ごし、晩年は長野県の蓼科(たてしな)を仕事場としてシナリオを創作した映画監督・小津安二郎(1903~63年)を顕彰する企画展「小津安二郎と蓼科―シナリオが生まれた場所」を開いている。脚本家・野田高梧(1893~1968年)が蓼科に開いた山荘「雲呼荘(うんこそう)」での創作の様子や暮らしぶりが記された「蓼科日記」(全18巻、複製)を中心に資料90点を通じて紹介する。3月2日まで。
日記やイラスト、写真、カメラ、野田が書いた「麦秋」シナリオも
野田は、小津のサイレント映画時代から脚本の制作に参加。小津との共作「晩春」(49年)から小津の遺作となった「秋刀魚の味」(62年)までの全作品を共に手掛けた。 展示では、シナリオ執筆の場を雲呼荘に移した56(昭和31)年の「東京暮色」からの暮らしや、作品のシナリオについて、同荘に置かれていた「蓼科日記」に記された記述やイラスト、写真などで振り返る。 日記は野田だけでなく、客人たちも一筆書いており、小津もシナリオについてや食事、詩などを絵や写真と共に書き記している。 また、同荘に表札として掲げられていたすげがさや小津が着用していた浴衣の他、使用していたフィルムカメラ、小津直筆の陶器のデッサン、野田直筆の「麦秋」のシナリオなども展示されている。 岩岡太郎学芸員は「松阪も蓼科も小津ゆかりの場所。青春の地・松阪で、蓼科での姿を見るのも面白いと思います。ぜひ見に来てください」と来場を呼び掛けている。 開場は午前9時から午後4時まで。月曜と年末年始(29日~1月3日)は休館。一般150円、6歳以上18歳以下は70円。