<勝利へ・2021センバツ鳥取城北>戦力分析/上 先代チーム上回る「守り」 /鳥取
3月19日開幕のセンバツ大会に2年連続3回目の選出が決まった鳥取城北。春の初勝利、そして頂点に向けてひた走るチームはどのような特徴と課題を持つのか。昨秋の公式戦7試合における各種データを基に、投手力や守備などの「守り」、打力や機動力などの「攻め」、中国地区からの出場校や他地区の強豪校と比較した「総合力」の3分野を徹底分析した。【野原寛史】 ◇投手力 投手陣は右腕の広田周佑(しゅうすけ)投手(2年)と、左腕の奥田智哉投手(2年)が軸だ。秋の県大会は公式戦経験のなかった4投手が登板。次第に両投手が台頭した。 広田投手の昨秋の最速は134キロ。カーブなど多彩な変化球を織りまぜて厳しいコースを突き、打たせて取る。走者を出してもストライクを先行させて大崩れしない。 奥田投手は23回3分の1で2失点。中国大会2回戦の宇部鴻城(山口)戦では、登板直後の投球練習中に負傷した影響で3回6四球と乱れながらも、無失点でこらえた。低めの制球が生命線だ。 速球が持ち味の本格派投手が複数いた先代チームと比較すると、奪三振率は及ばないものの、被安打や防御率は上回る。甲子園でも2人が粘り強い投球ができるかが勝利のカギとなりそうだ。 さらに山木博之監督が期待するのが、身長183センチの長身右腕・山内龍亜(りゅうあ)投手(2年)だ。けがの影響や制球難で昨秋の登板は2試合のみだが、「最速140キロを優に超える潜在能力がある」と評価する。冬の練習とフォーム改造を経たセンバツでの開花が期待される。 ◇守備力 野手陣は7試合で3失策。8試合で11失策だった先代チームと比べても守備は堅い。中でも、松田龍太遊撃手(2年)や宮田葵(あおい)一塁手(2年)の好守が印象に残った。 特筆すべきは、岸野桂大捕手(2年)の強肩ぶりだ。捕球から二塁への送球到達までの時間は最速1・8秒台。プロ野球の平均が1・9秒台中盤とされるだけに、高校生では驚異的なタイムだ。昨秋の7試合で許した盗塁は4。うち中国大会は3試合で2盗塁しか許さず、宇部鴻城戦でも序盤のピンチに盗塁を阻止して味方を救った。 センバツ出場校は高い機動力を誇るチームが多い。バッテリーの連携で盗塁をどこまで防げるかがカギになりそうだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇新旧チームの投手成績比較◇ 試合数 完投 回 被安打 奪三振 四死球 暴投 失点 自責点 防御率 奪三率 【2020年秋】 広田周佑(2) 6 1 29回1/3 31 17 15 1 18 17 5.22 5.22 ▽奥田智哉(2) 4 0 23回1/3 11 11 16 0 2 0 0.00 4.24 中野天太(2) 2 0 6 6 1 6 0 3 3 4.50 1.50 山内龍亜(2) 2 0 2 3 1 1 1 3 3 13.50 4.50 計 7 1 60回2/3 51 30 38 2 26 23 3.41 4.44 【2019年秋】 ▽阪上陸(2) 5 0 23回1/3 24 23 8 0 13 13 5.01 8.88 田渕洋介(2) 5 1 17回1/3 21 10 8 1 13 11 5.71 5.20 松村亮汰(2) 2 0 10 9 8 5 1 3 1 0.90 7.20 中川央(2) 3 0 8回1/3 13 6 12 0 13 6 6.48 6.50 白井響介(2) 1 0 3 1 0 6 0 0 0 0.00 0.00 計 8 1 62 68 47 39 2 42 31 4.50 6.82 ※丸囲み数字は学年、▽は左投手。「奪三率」は奪三振率(9回を投げたと仮定した場合の平均奪三振数)