日馬富士引退と貴乃花親方の協力発言で暴力問題は終結するのか?
そして今回の暴力事件ではからずも表面化してしまった角界の体質改善が進んでいないという現状、背景についても、なんらかの手立てを打たねばならないだろう。 協会は、今回の事件を生んだ背景にある相撲界の悪しき体質について徹底究明する必要がある。 10年前に悲しい死亡事件が起きて以来、協会は、竹刀やバットなどを部屋に置くことを禁じ、外部委員が稽古を視察、定期的に講話の場を開くなど進めてきた暴力の再発防止策が機能していなかった点についても理事会で深く論議しなければ、今後、第2の日馬富士事件が起きる可能性は消えないのだ。 「ここ数年に起きた一連の不祥事を受け協会は、定期的に講習会を開き暴力の撲滅など改革に取り組んでいる最中に起きた事件でした。その取り組み方が結果的に甘かったということでしょう。相撲界は確かに特殊な世界です。なかなか体質の改善が難しいのも事実です。ただ暴力事件が起きたことを文科省も看過できないでしょうし、公益財団法人として、もっと本気で改革に取り組まねばなりません。講習会だけでは足りないと思います。例えば問題が起きた場合には、必ず厳罰を与え、それを抑止力にするなどガバナンスの強化が必要だと考えます」と、荒井氏も警鐘を鳴らす。 八角理事長を中心とした協会としては、今回の不祥事を一日でも早く幕引きしたいのが本音だろうが、相撲界の未来に向けては絶対に中途半端な形で終結させてはならないのである。