日馬富士引退と貴乃花親方の協力発言で暴力問題は終結するのか?
危機管理委員会は中間報告で貴ノ岩以外の聴取に基づく事件の詳細を文書などで明らかにした。 それによれば10月25日に鳥取市内で行われた鳥取城北高の関係者による激励会の二次会で、白鵬が卒業生である貴ノ岩と照ノ富士に「母校への恩を忘れないように」と“説教”した際、貴ノ岩が携帯を触っていて、それを見つけた日馬富士が注意したが、「彼女からのメールです」と答えたため、平手打ちをしたという。さらに貴ノ岩が謝罪をせず、睨み返すなどの反抗的な態度をとったため、日馬富士が激高。 続けて平手で頭を十数回殴り、カラオケのリモコンで頭を数回殴った。シャンパンのボトルを手にしたが滑り落ち、結果的には使用しなかった。日馬富士は「脅すつもりだった」という。 白鵬が止めに入って暴行が終わったが、荒井氏の指摘の通り、まだ中間発表の段階では、すべての全貌が明らかになったとは言えない。 20日の理事会で最終報告が行われるが、そこで、どこまで全容に迫ることができるのか。 今回の理事会では、巡業部長として事件の協会への報告を怠り、ここまで貴ノ岩への聴取などを拒んできた貴乃花親方についての処分も検討されると見られていたが、そこまで踏み込んだやりとりはなかった。来月の巡業からは外されたが、前述の荒井氏は、「処分ではない」という見方をしている。 「処分ではないと思います。今後、貴乃花親方は、警察の捜査が終わったあとに危機管理委員会の聴取にも応じるとのことなので、その調査を最優先するということでしょう。巡業に貴乃花親方が同行すればマスコミが殺到して混乱を及ぼすことも考慮したと思います」 貴乃花親方が、条件付きながら、ようやく聴取への協力に応じるなど柔軟姿勢を示したことで、貴乃花親方への責任問題も回避されたとも考えられる。 だが、荒井氏は、「貴乃花親方は相撲原理主義者なのでしょう。弟子が暴行を受けたからには、師匠として全貌が解明されるまで徹底的に戦う、という姿勢だと思います。また協会に丸めこまれてしまうことも危惧していたのかもしれません。それらの考え方も理解できますが、巡業部長として警察に被害届を出しながら、一方で協会に対しては『知らない』と答えるなど、暴行事件を報告をしなかったことも含めて、これまでの姿勢には、大きな問題があると考えます。また貴ノ岩は、まだ聴取に応じられる状況ではないのかもしれませんが、貴乃花親方と共にいずれ記者会見を行わねばならないでしょう」という意見だ。 協会の危機管理委員会の聴取に応じた後には、今後に“しこり”を残さないためにも、相撲ファンに向けて、貴ノ岩と貴乃花親方は、言葉を発する必要はあるのかもしれない。