ウクライナ難民に“日本一”のラーメンを!「らぁ麺 飯田商店」店主率いる若きチームの挑戦
「もちろん、ラーメン店には外国の方も多くいらっしゃいます。なかには『初めてラーメンを食べた』という方もいるかもしれないけれど、こうやって交流をしながら感想を聞ける機会はあまりないんです。そんな交流やあたたかい空気感とかも、ぜひ若手店主にも体験してもらいたい」 この日、飯田店主が用意したのは、鶏のみでとったピュアなしょう油スープ。宗教や文化上、豚を食べられない人もいるため、チャーシューも鶏のみでつくっている。「ラーメンを食べるのは初めて!」というウクライナのガリーナさん(69歳)は、レンゲと箸がうまくつかえず、フォークとスプーンでチャレンジ! 「ウクライナにも鶏のスープやリゾットがあるけれど、日本のラーメンのほうがおいしいわ!」(ガリーナさん)
ボランティア活動を通じて、若手に伝えていきたいこと
ラーメンを提供するボランティアを通じて、ラーメン店主同士の交流を深められると飯田店主。伝えたいことを自然に伝えられる、いい機会にもなっている。 「ラーメンをこうして一緒につくっていると、自然とラーメンの話になるわけです。たとえば麺をゆでながら『さっき、製麺しているときに思ったんだけど……』、スープを注ぎながら『そういえば鶏のだしの出るポイントって……』なんていう話になる。その流れで自然に、食材の話になったりね」 飯田店主が後進たちに伝えていきたいのは、いまラーメン店主たちが当たり前のようにつかっている食材について。かつて“ラーメンの鬼”と謳われた「支那そばや」の故・佐野実さんを筆頭に、先人たちが切り拓いてくれたからこそつかえる食材がたくさんあるという。 「名古屋コーチンをはじめとする鶏、羅臼昆布などのだし食材、有田の器などなど、佐野さんが全国の生産者を訪ねて結んできた絆があるからこそ、ボクたちのラーメンがある。いまの状況がじつは当たり前ではない、ということを、あらためて伝えられるチャンスでもあるんですよ。感謝があふれているこの空間だからこそ、自然とみんなのなかにも入っていくんじゃないかな」