家族とおいしい食事こそが幸せ 映画「おいハンサム!!」吉田鋼太郎の芝居に説得力 シネマプレビュー 新作映画評
公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 【場面カット】草笛光子の主演映画「九十歳。何がめでたい」より ■「おいハンサム!!」 フジテレビ系の深夜「土ドラ」枠で、シーズン2まで放送された人気ドラマの映画化。伊藤理佐の複数の漫画を原作に、元フジの山口雅俊監督が、令和の「寺内貫太郎一家」とはいわないまでも、吉田鋼太郎が演じる伊藤源太郎と3人の娘を中心に、くすりと笑わせ、じんとくる現代のホームドラマを作りあげた。 源太郎たちの日常の短いエピソードを多数積み上げながら物語を進行させるスタイルはドラマのままで、映画にしたことへの特別の配慮もなく、登場人物も多いため、初見の人は戸惑うだろう。だが、彼らの悩み、ささやかな幸せに共感するうちに自然と伊藤家をめぐる出来事に巻き込まれ、物語の中へ入り込めるので心配はいらない。 源太郎が〝良い顔〟で〝良いこと〟を演説するお決まりの場面があり、これがタイトルの由来でもあるのだが、吉田の芝居にはシェークスピア俳優ならではの説得力がある。妻役のMEGUMI、3人の娘を演じる木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈とも息が合っている。 家族とおいしい食事こそが幸せの基盤、いや、最大の幸せであるかもしれないことに気づかせてくれる。 21日から全国公開。1時間59分。(健) ■「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」 ロンドンで株の仲買人として働いていたニコラス・ウィントンが第二次大戦直前の1938年、ナチスからチェコに逃れてきたユダヤ人の子供たち669人を英国に避難させ、半世紀を経て彼らとの再会を果たした実話に基づく。 50年後の88年、ニコラスがあるTV番組で救出した子供たちと再会する場面が劇中、登場する。彼らは実際、ニコラスに救出された子供やその子孫たちで、プロデューサーが彼らを探し出し、この再現場面への出演を依頼したという。 ニコラス役は青年時代をジョニー・フリン、現在をオスカー俳優のアンソニー・ホプキンスが演じている。監督はジェームズ・ホーズ。英映画。