「大阪王将ナメクジ事件」「チロルチョコ虫混入事件」はこんな結末に…SNS拡散の危険性【「表と裏」の法律知識】
【「表と裏」の法律知識】#256 近年、SNSで誰もが簡単に情報を発信できる時代になりました。しかし、その便利さには注意が必要です。例えば、「大阪王将のナメクジ事件」や「チロルチョコ虫混入事件」。どちらもSNSへの投稿がきっかけで世間の注目を集めましたが、法的にどんな結末になったのか──。 首都高で起きたトラックの迷惑停車…運転手はどんな責任を負うのか? 「大阪王将のナメクジ事件」は、宮城県仙台市のフランチャイズ店舗で元従業員が「ナメクジが大量発生している」とSNSに投稿。表面的には、「内部告発」のようにも見えますが、実は投稿者の動機が職場への不満や「復讐心」からきていたとされています。また裁判ではナメクジの大量発生という事実自体なかったと認定され、偽計業務妨害罪での実刑判決が下されました。 「チロルチョコ虫混入事件」はどうなったか。こちらは、購入したチョコに虫が入っていたことを動画でSNSに投稿したケースです。しかし、虫が入っていたとされるチョコは過去に購入したものであり、保管状況が良くなかったため、商品出荷後に混入した可能性が高いようです。チロルチョコ側は投稿者から謝罪を得たとしておとがめなしのスタンスのようですが、この投稿も大阪王将同様、会社の商品に対する社会の信用信頼をおとしめたとして、業務妨害罪・信用毀損罪・名誉毀損罪などに問われてもおかしくない事件です。 SNSへの投稿を「公益通報」目的で行う人も少なくないとは思います。本来「公益通報」は広く保護されるべきですが、SNSへの投稿が「公益通報者保護法」で守られることはありませんから、気をつけてください。 現代はSNSで情報が瞬間的に広まります。それは拡散する人が多いからでしょうが、投稿する情報が果たして真実なのかどうか、無害なのか、悪影響はないのかなど考えずに軽率に発信・拡散すると、法的な問題になりかねません。 くれぐれも投稿には注意してください。 (髙橋裕樹/弁護士)