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おいしくて病気に強い野菜

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　最後に紹介するのは、野菜などの種苗で世界トップ10に入るサカタのタネだ。同社はキャベツやレタスなどの葉菜類や人参や大根といった根菜類などの種苗を提供し、世界の食と健康を支える。 　「なかでも農林水産省が'26年から指定野菜に追加することが決まったブロッコリーのタネは、世界シェアの65％を占めています(自社推計)。元々世界的にもマイナーな野菜だったブロッコリーですが、弊社が生育のそろいがよくて、青果の品質がよい『F1種』を開発したことで、広く食べられるようになったと自負しています」(同社コーポレートコミュニケーション部・藤田杏奈氏) 　野菜の新しい品種の開発は10年スパンの時間がかかる。たとえば、味のいい野菜ができれば、そのタネを採り、育ったものからまた味のいいものを選抜していく。こうしてできるのが「固定種」だ。一方、病気に強いものを選抜してできた固定種もある。この味がいい固定種と病気に強い固定種をかけ合わせてできたものが、味がよくて病気に強い「交配種=F1種」と呼ばれる。 　「ただし、このF1種から採ったタネを育てても、同じように味がよくて病気に強い野菜が育たないのが、遺伝の法則なのです。したがって、農家さんには毎年タネを買っていただく必要がありますが、タネ採りの手間を省き、毎年強くておいしい野菜を作れて、食料の安定供給に役立っているというのが、私たちの大きな強みでもあるのです」(藤田氏) 　不遇の時代にも諦めなかった日本企業。ものづくり大国復活の狼煙がついに上がった。 　「週刊現代」2024年5月18・25日合併号より 　ーーーー 　連載第一回〈夢の「月面生活」を可能にする「世界初の技術」を持つ、ある企業の挑戦〉も続けてお読みください。