映画『フォールガイ』で再注目、女性スタントマンの活躍を追った名作ドキュメンタリー
スタントウーマンは、アメリカが戦争をしていたときに需要
1970年代に放送していたテレビシリーズ『ワンダーウーマン』や『チャーリーズ・エンジェル』などで大活躍していた、いまやおばあちゃんとなったスタントウーマンが、当時の映像を振り返りつつ、貴重な証言をたくさんしてくれるんです。 また、ハリウッド映画のスタントウーマンは、アメリカが戦争をしていたときに需要が多かったというのも目からウロコでした。男たちは、みんな戦争に行ってしまったから、そのぶん活躍できる場が広がったということなんですね。 だけど、男たちが戦争から帰ってきたら、急に仕事がなくなった。その頃のハリウッドは男社会で、男性の仕事が最優先。女性が階段落ちをするようなシーンはスタントウーマンがやっていたのに、 男のスタントマンがカツラをつけてやることが増えていったそうです。 スタントのシーンを考えたり、監督を務める「スタント・コーディネーター」という仕事も、その地位までいけるのはほとんどが男性。最近になってようやく女性のアクションコーディネーターも出てきてますが、まだまだ少数というのが実態のようです。 それと強烈なのは、スタントを失敗したときのエピソードですね。『フォールガイ』や『ライド・オン』でも触れられてますけど、スタント中の事故やアクシデントで亡くなったり、下半身不随になって動けなくなってしまった仲間もたくさんいたそうです。 そのなかで、あるスタントウーマンの方が言っていた「3つのプラン」というのが印象的でした。 スタントをやるときに、私たちには常に3つのプランがある。1つは監督が求める理想的なスタント。 2つめはスタントする側が、こうやりたいと思うスタント。そして3つめが、誰も成功のイメージがつかめていないスタント。 この3つめのプランを無理に実行すると、ケガしたり、失敗してしまうことが多いそうです。 実際にやる人間が明確にビジョンとして描けてないのであれば、勇気を出して「降ります」と言った方がいい。それができずに消えていった人たちがたくさんいると言ってました。 逆に、とんでもないスタントでも「出来る」というイメージが明確だったら、それはチャレンジしたほうがいいのかもしれない。 これはスタントだけでなく、どんな仕事でも通じる話なんじゃないかなと思いますね。
ENTAME next編集部