雪にも映えるカラフルな実と花~「木と暮らす12か月」
木枯らしが吹いて赤や黄に色づいた葉は落ち、いよいよ冬の到来です。庭の景色は寂しくなりがちですが、寒い季節にもカラフルな実や花が楽しめる木もあります。『趣味の園芸』連載「木と暮らす12か月」の12月号のテーマは、「雪にも映えるカラフルな実と花」。その中から、ウメモドキを紹介します。 みんなのウメモドキの写真
鈴なりの赤い実が冬の庭を明るく ウメモドキ
ウメモドキは、漢字で書くと「梅擬」ですが、モチノキ科の植物です。バラ科のウメとはまったく種類が異なります。ではなぜそんな名前かというと、葉や枝ぶりがウメに似ているためといわれています。花も似ているという説もありますが、6月ごろに咲く花は小さく、あまり目立ちません。 ウメモドキの見どころは、なんといっても秋に結実する赤い実です。9月ごろから色づき始める直径5mm程度の小さな果実は、寒さが深まるにつれて赤く熟していきます。鈴なりの赤い果実は、落葉後も枝に残り、冬の庭を鮮やかに彩ります。 赤い実と野趣のある樹姿が愛され、日本では古くから庭園に植えられてきました。和風の庭で灯籠のわきなどに配されることが多いです。果実の大きい園芸品種′大納言′などもあり、盆栽や生け花にも引っ張りだこです。実が白いシロウメモドキは、ナチュラルな雰囲気で、洋風の庭にも合います。 注意すべき点は、雌雄異株(しゆういしゅ)であること。雄木(おぎ)には実がつきません。実を観賞するには雌木(めぎ)を植えましょう。近隣に雄木があれば、雌木1本でも結実します。 (解説・小島幹央) 『趣味の園芸』2023年12月号 連載「木と暮らす12か月」より