若い夫婦、住んでほしい。立川市手がけるプレミアム婚姻届政策の“訴求力”
気象庁は、6月6日に関東地方の梅雨入りを発表しました。今後、約1か月間はスッキリしない天気が続きます。お日様が顔を出さない日がつづく梅雨の季節は、どうしても気分が沈みがちになります。 一方、この季節に胸躍らせる人たちもいます。6月はジューンブライド。結婚式を挙げるカップルや入籍する夫婦にとって待ち焦がれる季節です。昨今、ライフスタイルが多様化したこともあり、結婚や入籍をしないカップルも増えています。そうした中、東京都は“TOKYO縁結日”と銘打った婚活支援政策を打ち出しています。この政策は、行政が個人のライフスタイルに介入することや強制するのではなく、あくまでもサポートという形で支援するものです。 結婚といった人生の節目を支援する動きは、都のみならずほかの自治体にも広がっています。東京都立川市は、独自の“プレミアム婚姻届”を制作。大きな反響を呼び、市外からも多くのカップルが市役所を訪れるようになっています。
にぎわう立川市。でも定住人口は伸び悩み
東京・新宿駅から電車で約20分。東京のベッドタウンとして発展してきた立川市は、JRの中央線・青梅線・南武線のほか、西武鉄道の拝島線、多摩都市モノレールなどが走っています。特に、玄関口となっている立川駅は交通の要衝でもあり、駅前は大規模商業施設が集積。平日・週末問わず、たくさんの人出でにぎわっています。 立川市の人口は、約18万3000人。人口規模だけで見れば、同じ三多摩エリアで約57万人を擁する八王子市、約43万人の町田市の後塵を拝しています。しかし、街の勢いという点では立川市に分があり、近頃は、立川市は“多摩の首都”と形容されることもあります。立川駅前は非常に発展したことで、最近では市外から通勤利用するビジネスマンも増えました。また、土日祝日には山梨県もしくは神奈川県から買い物などで立川を訪れる来街者も増えています。 近隣の市町村から人が集まって大発展を遂げている立川市ですが、他方で悩みを抱えています。立川市は昼間人口と比較して夜間人口、つまり居住人口が少ないのです。 「今般、都心回帰の傾向が強くなっています。立川市もそうした恩恵を受けていますが、定住人口は伸び悩んでいます。その理由として考えられるのが、立川駅前のほとんどが国有地や公有地で、マンションを建てられるスペースが小さいことです」と話すのは、立川市企画政策課の担当者です。 現在も立川駅前には陸上自衛隊立川駐屯地や国営昭和記念公園といった広大な国有地があります。時代とともに駅前はすっかり様変わりしましたが、以前は広大なアメリカ空軍の立川基地が広がっていました。1977(昭和52)年に立川基地は全面返還。その後、一部の敷地は再開発されて商業施設に生まれ変わっています。しかし、いまだ空き地のままになっている土地があちこちに見られるのです。 こうした立川市独自の事情もあって、発展が著しい立川駅前には、住宅地の開発余剰が乏しく、どうしても住宅地は駅から離れてしまいます。駅から遠い場所に住むことになるのなら、立川市ではなく職場に近い東京23区に住むという選択をする人もいるでしょう。 そうした背景から、若い世帯の定住者が思うように増えていないのです。