「私を死刑に」指示役に憧れ老女死なせる ルフィ事件現場リーダー、改悛の情は本物か 法廷から
「死刑を望みます」-。「ルフィ」などと名乗る指示役らによる広域強盗事件で強盗致死罪などに問われた実行役リーダーの男は、法廷でこう懇願した。少年時代から非行を重ね、借金苦から手を染めた「闇バイト」にも抵抗はなかったという被告。当初は自暴自棄からだったが、現在は「改悛(かいしゅん)の情」から極刑を希望していると明かしたその言葉は、果たして本物なのか。 【実際の写真】新手の「欠品・返金詐欺」 犯行グループから送られたLINEのメッセージ ■「家燃やす」と脅し… 「無期懲役ではなく、死刑を強く望みます」 東京地裁立川支部で10月24日に開かれた論告弁論公判。6件の空き巣や強盗事件の実行役として起訴された永田陸人被告(23)は、最終陳述でメモを片手にこう述べ、頭を下げた。 同18日から始まった裁判員裁判で、被告はいずれの事件についても罪を認めていた。ただ、検察側の求刑は無期懲役。裁判員の中には、困惑したような表情を浮かべる人もいた。 検察側の冒頭陳述によると、被告は昨年1月19日、3人の男とともに東京都狛江市の住宅に宅配業者を装い侵入。住人の女性=当時(90)=を縛り、暴行を加えた。 被告は3人のうちの1人にバールで女性を殴らせただけでなく、自身も「家を燃やす」などと脅して女性の腹部を蹴り、死亡させた。指南していたのは、フィリピンにいた指示役だったとされる。 ■競艇で金銭感覚まひ 法廷での説明によると、被告は京都市出身で、中学時代から「やんちゃな悪ガキ」として知られていたというが、友人が離れていったことで〝改心〟し、教師の勧めで介護施設で入所者の話し相手や将棋の相手をするボランティアを始めた。 高校は介護を学べる府立高に進学したものの、「重労働のわりに給料が伴っていない」と考え、中退して解体や土木など現場仕事を始めた。 まじめに働いていたが、20歳を過ぎたころ、再び歯車は狂い始める。理由は競艇。初めて賭けた日に、予想が的中して1万円が25万円に化けた。 いわゆる「ビギナーズラック」だったが、金銭感覚がまひするのに時間はかからなかった。給料が足りず、消費者金融、そしてヤミ金に手を出した。