11月8日から寒さと乾燥で負担を受けやすい『立冬』。日照時間が減り、心身のバランスを崩しがちなこの時期に試したい対策とは?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「立冬(11/8~11/21頃)」です。 【イラスト】足裏のツボ「湧泉(ゆうせん)」の位置 * * * * * * * ◆立冬(りっとう) 11/8~11/21頃 紅葉が見ごろを迎え、体感的にはもっとも秋らしい時期ですが、暦の上では冬の始まり。 例年、木枯らし一号の吹く頃です。 亥(い)の月(11月)の亥の日にこたつを出すと火事にならないとされる「こたつ開き」の風習があります。 中医学では、冬はもっとも体調を崩しやすい時期とされますので、早寝遅起き、日光浴など、冬の養生を始めていきましょう。
◆中医学的 立冬の暮らしかた ・心と身体の状態 中医学では、春夏秋冬の中でも、冬がもっとも体調を崩しやすい季節と考えます。寒さから行動力が鈍り、気持ちもいつもより内向きになる傾向に。 とはいえ、これは自然の摂理にかなっていること。暖かい時期とくらべて、外に出たり、人に会うことを自然とセーブすることで、エネルギーの消耗を避けようとしているのですね。 ただし、冬もマイナスなことばかりではありません。冬は、“蓄える”ことに適した季節。 冬の五臓(注)である腎が健康であれば、腎が活発に働き、しっかりと身体に栄養を“溜める”ことができます。その栄養は、再び春に芽吹き、成長するエネルギーになるのです。 (注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。 ・起こりやすい不調 本来は厳しい冬に向かう時期ですが、近年では、昼間は暑さを感じるほど気温が上昇する日もあり、寒暖差から心身のバランスを崩しがちに。 「風邪は万病のもと」と言いますが、うっかり日中に薄着で出かけ、夜の急激な冷えで、体調を崩すことがないように気をつけたいところです。 また、明け方も気温がグッと下がることから、寝ている間にこころも身体も縮こまって、「気持ちが塞(ふさ)ぎがちで、布団から出られない」「起きたくない」と感じる人も多くなることでしょう。