政治資金規正法改正、岸田・自民の“2大残念”はこれだ…「みみっちいスケール感」と「なんちゃって連座制」
■ 収支報告書「誤記載」には行政罰を ――政治資金規正法自体は総務省の所管です。 成田氏:政治資金規正法に関して総務省は一切、監督権限を持っていません。政治資金収支報告書の提出があったら、形式的な違反だけはチェックしますが、中身がおかしいという口出しは一切できません。 安倍派のヤミ金問題で所属議員たちが政治資金収支報告書の訂正をしましたが、総務省のホームページを見てください。 訂正した収支報告書には「願により訂正」という総務省のスタンプが押してあります。 ◎参考:総務省HP「政治資金収支報告書 令和5年11月24日公表(令和4年分定期公表)」 あれだけの違反があっても総務省には、訂正を命じる権限はないのです。目に余るものは検察が立件します、という話になってしまっているわけです。 諸外国は監督機関を設けています。アメリカなら「連邦選挙委員会」、イギリスなら「選挙委員会」という監督機関があり、立ち入り調査や制裁による監督権限が認められています。 今回の裏金事件では、収支報告書の訂正だけすれば何でも済んでしまうということが批判されました。虚偽記載には刑事罰が適用できますが、誤記載に刑事罰を適用するのは過失罪を法定しない限り無理でしょう。 行政監督機関を設置すれば、誤記載に対する行政罰を設けることもできます。例えば、反則金だとか、政治資金パーティーの1回禁止だとか、政治資金の受領3か月停止、といった行政罰が考えられるでしょう。
■ もし監督機関があれば、森派ヤミ金問題も… 安倍派(清和政策研究会)の裏金事件で森喜朗元首相が注目されていますが、森派時代の1998年から2003年まで、森派は「餅代・氷代」と呼ばれる派閥議員への活動資金をヤミで配っていました。 議員はみな「派閥からもらっている」と言うのに、収支報告書に出てこなかった。それをしんぶん赤旗が報じました。 実際、当時は大きな問題にならなかったのですが、それは刑事告発がなかったからです。検察はそれなりの根拠で固められた告発やしかるべき端緒がなければ動けません。 その一方で、行政監督機関なら事情聴取ができるでしょう。だから監督機関が必要なんです。 新設でコストがかかるということであれば、中央選挙管理会に併設するような形でもいいでしょう。 何度も言いますが、今国会で倫選特を改組した透明性の低い委員会でちょこちょこっと話し合ってするような改革ではダメです。 抜本的な改革を、1~2年かけてきちっと整えていく。特に行政監督機関を設置するとなると法案は政府提出にならざるを得ず、政府提出にするためには選挙制度審議会をやる必要があるので、それなりに大掛かりな作業になるでしょう。 岸田さんが本当に取り組むべきことは、そのための道筋を作ることです。