<センバツ・平成の名場面>十回2死からの大逆転 第61回決勝 上宮vs東邦 センバツ 平成の名場面
敗者には残酷な幕切れだった。 平成最初の第61回大会(1989年)の決勝は、後にプロ入りする元木大介内野手(元巨人)、種田仁内野手(元中日など)ら強打者をそろえた上宮(大阪)と、左腕・山田喜久夫投手(元中日など)を擁する東邦(愛知)が顔を合わせた。試合は山田投手と上宮の右腕・宮田正直投手(元ダイエー=現ソフトバンク)の投げ合いとなり、1―1で延長戦に突入。十回表に上宮が1点を勝ち越し、その裏、東邦は2死走者なしと追い込まれた。 【写真特集】センバツ決定を喜ぶ東邦の選手たち 粘る東邦は四球と内野安打で一、二塁とし、続く原浩高捕手の中前打で二塁走者が還り同点。一塁走者が三塁に向かいかけたため、上宮の塩路厚捕手は挟殺を狙って三塁へ送球。走者が二塁へ戻るのを見た三塁手は二塁へ転送したが、やや左にそれた。外野に転がったボールはカバーに入った外野手の手前で不規則に弾み、グラブをすり抜けた。 誰もいない外野の芝の上を白球がフェンスまで転々とする間に、走者は三塁を蹴ってホームイン。本塁付近で東邦の選手たちが抱き合う中、上宮の選手たちはグラウンドにうずくまった。サヨナラ決着で明暗が分かれた。 48年ぶりの優勝をつかんだ東邦。完投した山田投手、同点打を放った原捕手は1年前、昭和最後のセンバツ決勝でもバッテリーを組み、宇和島東(愛媛)に敗れて悔し涙を流していた。 ◇決勝 上宮 0000100001◆2 0000100002◆3 東邦 (延長十回)