京都府中丹地域でクマ出没情報倍増 住宅付近での目撃など…大江町で京都府が講習会
クマによる人や農作物への被害を未然に防ぐため、京都府中丹広域振興局は16日、福知山市や福知山署と連携し、大江町小原田で講習会を開いた。今年度は中丹管内で例年よりも多くの目撃情報が寄せられており、集落にクマを寄せ付けないための対策などを地元住民に解説した。 府によると、今年度の福知山、綾部、舞鶴の中丹3市の出没情報は9月末時点で469件と、昨年度同期比2・2倍に増えている。住宅地付近での目撃も多く、今年4月には福知山市夜久野町内の飲食店倉庫へクマが侵入し、辺り一帯が騒然とする事案も起きた。
今秋は栗に執着 別段の注意を
講習会は小原田中公民館であり、地元住民6人が参加。同振興局農商工連携・推進課の岡田幸大課長補佐兼係長と河合拓務技師が解説。初夏は繁殖期で行動範囲が広がるため、クマとの遭遇機会が増加し、冬眠を控える秋は柿や栗を求めて集落に出没することが多いという。 今年の傾向として、柿が少ないことに加えてドングリが不作で、「残っている栗に執着しているような状況。例年とは異なっているので、普段より気を付けてください」と呼びかけた。 クマを寄せ付けない集落作りでは、クマにとって魅力のない場所にすることが重要で、不要な柿の木は伐採する▽管理できる実の量に剪定する▽落ちている実は放置しない▽トタンや電気柵を巻く-ことなどを紹介した。 このほかにも、クマの餌となるような生ごみや農作物を家の周りに置かないこと、軒先にできたハチの巣は放置せず除去すること、建物の施錠をしっかりすることなどがポイントだと説明した。 また、小原田地区での目撃情報は昨年度1件だったのに対して、今年度は10月8日時点で11件に増えていることも報告され、住民たちが気を引き締めていた。 市職員からは、自治会が行うクマ対策の果樹の伐採などに要する経費を補助する制度について説明があったほか、福知山署員は「外から物音がした時、不審者やクマの可能性もあるので、110番通報をしてください」と伝えた。 講習会の後半は、集落内でクマの被害にあった柿や栗の木を現地で確認。爪痕などを見て、クマの習性を学んだ。 小原田自治会の川戸智之自治会長(57)は「今年、家の庭でクマを見たという地元住民がいて、ひやりとすることがありました。人の被害がないことが一番。きょうは参考になる話で、有意義でした」と話していた。 講習会は17日に福知山市石場でも行った。府は今後も、昨秋と今年中に出没が多かった地域を中心に、市や警察署と連携し、巡回啓発を行うという。