ジュビロ磐田が下位グループから抜け出すために必要なことは? 福西崇史「まずは2トップでどれだけ起点を作れるか」
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 第97回のテーマは、ジュビロ磐田の今シーズンについて。現在、5勝3分8敗で13位につける磐田のここまでの戦いぶりと見えてきた課題。下位グループを抜け出すために必要なことはなにかを福西崇史が解説する。 * * * 一昨季のJ2降格から1年でJ1へ復帰したジュビロ磐田ですが、第16節を消化して5勝3分8敗、勝ち点18ポイントで13位。順位としては下位グループを抜けて中位グループに入ろうという位置で、まだまだこれからといったところでしょう。 ここまで4-4-2のシステムでコンパクトにブロックの守備を構え、奪って前線のジャーメイン良を生かしてカウンターを仕掛けるというのがベースで、繋げるときには繋いでいくという戦い方をしています。 守ろうとしたら守れるし、ハマったときには強い。チームとしての戦い方はかなりまとまってきていると思います。けれど、得点が取れずに相手にペースを持っていかれるという試合が多く、安定して強さを発揮できるチームになるにはまだまだ課題が多いと思います。 現状は固く守れたとしても2トップにボールが入ったところを抑えられてしまうと、なにもできないという展開が多く、そこでまだゲームをうまくコントロールできないので、守り一辺倒になってしまいます。 今の磐田にまず必要なのは、安定して攻撃を組み立てるために2トップでどれだけ起点を作るか。そういった意味で、2トップはジャーメインとマテウス・ペイショットがベストの組み合わせだと思います。高さと強さのある2人であれば、トップで起点ができる可能性が高くなり、そこで起点ができれば、平川怜や松本昌也などサイドからのクロスという磐田の強みを生かせるようになります。 クロスが入ったときにどちらか1人では相手も抑えやすいですが、ジャーメインとペイショットの迫力ある2人がそろって中にいることは、相手にとってかなりの脅威です。また、ターゲットになり、相手DFをつることができるペイショットがいることで、ジャーメインがゴール前に飛び込めるので、得点機会はより増えていくと思います。 ただ、第12節・東京ヴェルディ戦の負傷で、そのエースのジャーメインが1ヶ月以上の離脱になったことは非常に痛い。マテウス・ペイショットの1トップで、山田大記がトップ下に入って、エース不在の戦い方を模索していますが、得点力は明らかに低下しています。 それでも湘南戦で0-2のビハインドから3-2と逆転できたことは、チームとして勢いに乗り、上向いていく良いきっかけとなると思います。